妄言読書日記
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2010年04月14日(水) 『掏り〔手偏に莫〕』(小)

【中村文則 河出書房新社】

ユーモアのない伊坂みたいだなぁという第一印象は最後まであんまり変わらず。
掏りをして生きてる僕が、さらに巨大な悪意の塊のような男に使われる、というあらすじなのだけれど、その男・木崎が中盤以降に登場するので凄さがわかるようなわからないような。
僕自身も掏りで生きてるくらいなので別に善人でもなんでもなく、僕と木崎の対比が弱い。
小悪人も大悪人もそんな違いが・・・と小市民的に思う。
確かに僕は金持ちからしか掏らないし、人も殺さないし、知人が死んだら嫌だなくらいの良心はあるんですが、木崎を前にした時の反応が薄すぎて何を実際感じているのかわかりかねる。
全体的に雰囲気でわかれ、みたいな書き方だなぁ。
くどくどされても嫌だけれど、もうちょっと。

ラスト死ぬのかなぁと思いつつ読んでいたんですが、どちらとも言えない終わりなのはよかったな。
あれで死んでたら、完全に閉じた物語になるところ。



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