妄言読書日記
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2010年10月29日(金) 『告白』(小)

【湊かなえ 双葉文庫】

ベストセラーだからあまり期待してなかったけど、思ったよりおもしろかったな。
二転三転するようなミステリーではない。
語り手を代えていくことで、事件の見え方が変わって、結局みんな自分本位のことしか言ってないんだな、ということが浮き彫りになる。
「告白」というタイトルではあるが、皆が本当のことを言っているようには見えない。
教師の森口にしてもそう。
自分の子どもを殺した二人を断罪するために、クラス全員を巻き込むのは教師として正しいとは思えない。
誰一人普通といえる立場の人間がおらず、そこが物語に対して距離を感じるけれど、救いのないラストはそれはそれでいいんじゃないかな。



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