妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2010年11月12日(金) |
『Another』(小) |
【綾辻行人 角川書店】
久しぶりの綾辻。 ホラーです。 誰かが多いというネタはけっこう好きです。 呪われた3年3組というネタで、ミステリー的な驚きも仕掛けられ、綾辻らしく大量に人も死ぬ。 ただ、ちょっとページ数多いような気もします。 主人公の父親とのやり取りとか、刑事とかそんなにいるかなぁと思いました。 父親の方はまぁ、ちょっとした伏線と言えるけれどそれなら、祖父母に同じ役割を振ればよいような気もします。 刑事にいたっては…名刺の出番は!? とまあ、ひょっとしたらこれはAnother2への布石かもしれませんが。
このままチュンソフトにサウンドノベル化してもらえそうな話しでした。 途中でいっぱい分岐点作れそう。 なんだか主人公がのんきだなぁという印象。
以下ネタバレ。
結局、呪い、というか現象そのものは無くせないので、次の年もその次も3年3組は呪われたままなんだろうなぁ。 まぁ、それはそれでいいと思うけど。 しかし、鳴のいない翌年の3年3組にへたに呪いを止める方法を伝えたら、バトルロワイヤル化しそうです。
ラストの大量殺人は、一瞬、双葉山の殺人鬼降りてきたかと思い戦慄。 ちょっとラストだけ突飛な大量殺人でした。 その辺もなんだか「かまいたちの夜」めいてはいるのだけれど。 一気読みできるおもしろさはあるのだけれど、綾辻ベストとは言えないなぁというのが正直なところ。
増えた一人の正体は、正直あんまり考えてなかった…。でもまあ、なるほどとは思います。 しかしそこの驚きに焦点を絞りすぎ、という気もしないではない。 増えた一人の正体よりも、鳴の姉妹がすでに死んでいるというのがわかった時の方がぞっとした。
呪い自体はおもしろいなぁと思う。 ルールに厳密なあたりがミステリー作家らしい設定です。
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