妄言読書日記
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※ネタバレしています
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2010年12月17日(金) 『収穫祭』(小)

【西澤保彦 幻冬舎】

私が読んだのはハードカバー版なのですが、表紙が全てという気がします。

嵐の晩に村民14名が殺されるという第一章が一番おもしろかったなぁ。
そこが終わって、繭子パートになるともうなんだか面倒くさい。
早く思い出せよ、と。読者がとうに周知していることをなかなか思い出さないから大変イライラとする。

第一章にしても、省路視点なのだけれど、死体がばんばん発見される中でエロのことばっかり考えているというあたりに、もっとよく状況を観察しろ!と言いたくなる。
冒頭に限らず登場人物がみんなエロのことしか考えていないのはこの小説に一貫してますけど。

書き方として気になったのが、語り手が誰かを目撃するあるいは出会って、すぐに誰か思い出せない→数ページ後に思い出すというパターンが多い。
登場人物同士のニアミスもやたら多い。運命の皮肉さみたいなのを書きたいのかもしれないが、世間が狭すぎるだろう、と。

みんなたまにはゲンキのこと思い出せよ。本当に。

以下ネタバレ。

事件の生存者が極端に少なく、アリバイという点からもすぐに犯人が割り出せるのだけれど、割り出せるけれど納得できない。
なんなのその暗殺者みたいな身のこなし。
田舎の一介の中学生女子が?

マイケルの家族サイドの設定もわけわからないし。
いや、なんの組織なんですか!?ジャネットってなんなんすか!!
そんな突飛な設定持ってこなくても充分成立する気がします。

ミステリとして書かないで、百舌シリーズみたいな感じで書けばよかったのに。いっそ。いや、百舌もミステリか。



蒼子 |MAILHomePage

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