妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2011年03月29日(火) |
『優しいおとな』(小) |
【桐野夏生 中央公論社】
桐野夏生が少年を主人公にして書くなんて珍しいなーと思い読んでみる。 近未来の東京でホームレスをしているイオンという15歳の少年が主人公。 ストリートチルドレンというほど立派な物でもなく、本当にホームレスという生活。 イオンの成長譚なのだけれど、なんだろうな、このラストに向けてのえ?え?という展開は。
結局、イオンが警戒するような悪いおとなは出てこず、強欲なばあさんだと思った拳銃ばあさんも、自分のことしか好きじゃないと言ったケミカルも優しかった。 桐野夏生だからもうちょっと、悪い奴が出てくるかと思ったけれど。
しかし、なんだろう、このラストじゃないとダメなのかな。 あと、イオンの育った施設の真相もこんな終盤にどうしようもない状況で明かされても、どうにもならないという気がしてしまう。
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