妄言読書日記
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2011年06月09日(木) 『ブラック・スワン』

【監督:ダーレン・アロノフスキー アメリカ】

もっと周囲が嫌な人間で固められているのかと思ったのだけれど、本当にニナの心の葛藤の物語だった。
もちろん、周囲の人間はいい奴ではないのだけれど、監督はルロワは女癖が悪いとは言われつつも、舞台優先でありニナに下心があるわけでもなく、母親は過保護で娘の成功を祝いつつも妬むアンビバレンツな人物でありながら、それはニナを心配するからであるし、ライバルのリリーは土屋アンナだし。
憧れの主演を射止めながら、黒鳥の演技が出来ないプレッシャーにどんどん追い詰められるニナの戦うべき相手は常に自分自身で、中盤までけっこう覚悟が決まらないニナにじりじりする。
本番当日まで、悩みもがいて現実と幻覚の区別がつかないままに舞台に立ち、ようやく黒鳥をものにする。
見る前から、黒鳥をものにするのは予想できたのだけれど、そうしたあと歯口調は踊れなくなるのではないか、その辺はどうするのだろうなぁと思っていた。
ニナが刺した相手が誰かわかったとき、泣きながら、白鳥のメイクをし直すシーンのナタリーの覚って覚悟を決めて最後の舞台に挑む表情が美しくて泣けた。
葛藤して嫉妬しても、結局それを他者に向けられず自分を壊す方向でしか乗り越えられなかったニナは純粋で美しかったと思う。
また、ニナとナタリー・ポートマンの生き方を観ている人は自然と重ねてしまい、より一層ニナと言う役に説得力が生まれていた。



蒼子 |MAILHomePage

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