妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2011年06月15日(水) |
『完全なる首長竜の日』(小) |
【乾緑郎 宝島社】
インセプション。
で、終わったら駄目なんだろうけど、選評でみんなインセプションのことをあげるくらいに、インセプションのことが脳裏をよぎります。 本作の方が映画より先なので、作者には気の毒ですけど。 虚構の中で繰り返される自殺と、夢の中で死ぬと覚醒するというあたりが重なってるだけなんですけれどね。
虚構と現実を行き来する物語は、虚構と現実の堺がわからなくなり、結局どっちだったのか、というのがわからなくなる、という定番のシナリオとオチしか待っていないので、いかにそこで引っ張るかという点が個性の出しどころなのだけれど、あまりセンセーショナルな出来事も起こさず、地味に地味に書いているあたりが意外にリアリティがあって展開がわかっていても最後まで読めました。 読めたけど、まあ、そうですよね、という話でオチなのであんまり満足感はないな。 おもしろくないわけじゃなくて、あまりにこの手の話し多いから飽きた、というのが近い。
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