2002年06月10日(月) |
「引き分け」の味わい |
昨日は日本がロシアに勝って、日本中が大騒ぎになった。日本中がこんなに盛り上がったのも久しぶり、というか過去になかったのではないか。サッカーのおもしろさ、魅力が浸透してきたことは、1ファンとして、うれしいの一語に尽きる。 さて、まだ予選リーグが終わったわけではないが、忘れないうちに書いておきたいことがあるので、中途半端な時期ではあるけれど、書いてみた。 「引き分け」についてである。私は、Jリーグが「引き分け」をなくし「延長Vゴール」というローカルルールを採用していることを一貫して批判してきた。かりに、このW杯の予選リーグに「Vゴール」が採用されていたとしたら(絶対に採用されることはないのだが)、予選リーグはこんなにも盛り上がることはない。いま日本中のあちこちで、勝利3、引き分け1の勝点計算が話題の中心だ。そればかりではない。肝心のゲームでも「引き分け」のゲームプランもあることを知ったと思う。勝ち残りの決勝トーナメントでは、VゴールやPK戦の決着が当然。しかし、リーグ戦では「引き分け」があり、それがサッカーの深さ、面白さを増すのである。 サッカーはカタルシスのスポーツである。人間の文明進歩の象徴である手を奪われたこの競技では、ミス、ハプニングが連続する。点もなかなか入らない。その結果が引き分けに終われば、われわれ観衆の欲求不満は頂点に達する。だが、それがサッカーなのだ。「勝ち」があって「負け」があって、「勝ち」に等しい「引き分け」があって、「負け」に等しい「引き分け」がある。格上の相手に引き分ければ、勝利にも等しい、アウエーで引き分ければ勝利にも等しい、そしてその逆も・・・というわけで、かくも複雑な気分を共有することこそが、真のサッカーファンなのである。
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