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2012年11月15日(木) 女神の償い

<W杯アジア最終予選:日本2−1オマーン>
◇B組◇14日◇マスカット・スルタン・カブース・スタジアム

前半20分、FW清武弘嗣(23=ニュルンベルク)がこぼれ球を押し込み先制。後半32分に同点に追いつかれたものの、同44分、FW岡崎慎司(26=シュツットガルト)が決勝点を決め勝利。アウェー、しかも、酷暑の試合というコンディションで、5戦負けなしで2014年W杯ブラジル大会出場に王手をかけたが、しかし、「アウェーの戦い方」の課題は残った。

1−0のリードで逃げ切り態勢を固めつつあった後半30分すぎ。攻撃に出た際にシュートまでいけず、インターセプトでボールを奪われるとカウンターを食らい、自陣ゴール前でFKを献上。そのFKを直接決められて同点に追いつかれ、あわやドローの展開に持ち込まれた。その前後にも攻めきれずカウンターを食うパターンが数回あっただけに、課題解消とはいかなかった。

FIFAランキングに開きがある相手であっても、アウェーの公式戦で、相手にサッカーをさせないような完全勝利を成し遂げることは極めて難しい。サッカーでは、ジャイアント・キリングが起こる可能性は高い。ましてや、気温の低い日本や欧州のリーグ戦を戦っている選手が、40度近い中東・湾岸の地で日中に試合をするとなると、体力的には相当きつい。

しかし、そんなことは言い訳にはならない。W杯予選、とりわけ、広域なアジア地区予選ではお互い様なのだ。

さて、日本はW杯アジア予選において、ずいぶんと幸運に恵まれているように思う。個々のシーンをここで再現して書くことは難しいが、フランス大会予選の岡田ジャパン、ドイツのジーコジャパン、そして南アフリカの第二次岡田ジャパン――その幸運が、今日のザックジャパンにも引きつがれているように思える。

この試合もそうであった。前半37分、1点リードされたオマーンのFKからのアジミのヘディングシュートが惜しくも右ポストに当たり、ゴール前にころがったが、フォローするオマーン選手より、長友が早く反応してCKに逃れた。このシュートが決まっていたら・・・もちろん、終わった勝負に「たら、れば」を言っても始まらないのは当たり前の話だが、それでも、日本代表にはツキがある。

驚異的な日本代表のツキは、1993年10月28日、カタールのドーハのアルアリ・スタジアムで行われた日本代表とイラク代表のサッカーの国際試合(1994年アメリカワールドカップ・アジア地区最終予選の日本代表最終戦)において、試合終了間際に同点においつかれた「ドーハの悲劇」の埋め合わせではないのか。あの試合でアメリカW杯出場を逃し、どん底に落ちた日本代表に対する、勝利の女神の償いではなのだろうか。そんなことを思いながらも、日本代表の勝利を祝福したい。


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tram