Sports Enthusiast_1

2013年03月17日(日) 菅野の「好投」に疑問符

読売のドラフト(破り)1位、菅野智之投手が14日の広島戦で「好投」した。この結果を受けて、菅野の評価は高まり、新人でローテーション入り間違いなしを断言した評論家氏もいた。

筆者は菅野の投球をCATVで見たのだが、なんとも不思議な「好投」だった。菅野の投球内容は、ストレートの球速がTV表示で140キロ台。最速で149キロだった。球筋は相変わらずシュート回転で、この日は右打者の外側からホームベースの右端をかするもの。この球筋をこの試合の球審が悉くストライクにとった。広島打線はこの球筋をボールだと判定して手を出さなかった。変化球はフォークに落差があった。その結果、6回2安打無失点8奪三振と、開幕シリーズで戦う広島を封じ込めた。

広島の2安打は、左打ちの安部友裕内野手(23)が放ったもの。3回1死走者なしで、外角141キロを左前打、6回1死走者なしではカーブを再び左前に運んだ。この2本がチームの全安打となった。シュート気味の速球は左打者には左方向を狙えば、ヒット、長打になる確率が高いことは、先の当コラムにて書いた通り。

さて、筆者の想像にすぎないが、広島打線の中軸はこの日、敢えて菅野を打たなかったのではないか。読売とは同じリーグに属し、しかも開幕シリーズで当たる相手。手の内を見せる必要はない。新人投手の菅野を潰す戦略もなくはないが、それよりも菅野の投球をじっくり見るという選択肢もある。とくに外国人打者のルイスは球審の判定にあきれて、打つ気をまったくみせなかった。

菅野のシュート回転のストレートが武器となるのか、彼の投手生命を短くするのかは断言できない。ただ言えるのは、ストレートがシュート回転で曲がる投手に本格派大投手はいないということ。せいぜい技巧派で終わる。しかも、パワーのあるMLBでは通用しない場合が多い。日本球界で本格派大投手と思われた松坂も、渡米後、肘の疲労の蓄積からストレートがシュート回転し、パワーのあるMLBの打者の餌食となった。けっきょくのところ、彼は肘の手術に追い込まれ、手術後のいま現在、低迷している。MLB復帰は難しいだろう。

菅野は早いうちにフォーム改造したほうが良い。


 < 過去  INDEX  未来 >


tram