2013年03月22日(金) |
WBC――質の低さが露呈 |
WBCは日本が準決勝でプエルトリコに敗れ国内の「フィーバー」が終わった(優勝はドミニカ)。フィーバーといっても、サッカーW杯とは異質なもので、大騒ぎしているのは放映権を獲得したテレビ局だけ。東京大会で予選を勝ち抜けた侍ジャパンはすぐに米国アリゾナに移動し、本番はサンフランシスコという強行日程だった。ホームでは驚異的な粘りを見せた日本だったが、アウエーでは体力面・精神面で疲労が蓄積していた模様で、プエルトリコのパワーベースボールに手も足も出なかった。
●「侍ジャパン」監督・コーチの人選に問題あり
優勝を逃したからではなく、「侍ジャパン」には批判が多かった。プエルトリコ戦の重盗失敗がそのことを象徴している。2点を追う8回1死一、二塁で打者4番という絶好機、得点差を考えれば、4番打者の長打(最低限シングル)を期待したい場面だ。そこで、ダブルスティールのグリーンライト(行ければ行けの重盗サイン)はあり得ない。しかも、相手の捕手はMLBでも強肩が売り物のモリーナである。常識では絶対にありえないサインである。二塁走者井端は当然、自重したのだが、一塁走者が走ってしまった。一塁走者のスタートはよかったが、二塁走者が走らなければどうしようもない。
この作戦に象徴されるように、山本には日本代表を率いる能力が不足していた。コーチ陣に対する批判もあった。とりわけ、ピッチングコーチの不真面目さが問題視された。
●緊張感を欠いた選手たち
選手も合宿中に写真週刊誌に不倫場面を報道されるなど、緊張感が欠けていた。選手の人選にも問題があった。とりわけ、昨年の日本チャンピオン・読売の選手(沢村・内海・杉内・山口・阿部・坂本・長野)が不振で、前出の重盗のサインも4番阿部が不振であったことが背景にあったはずだ。阿部が好調だったならば、重盗のサインもなかっただろう。写真週刊誌の報道されたのも読売の投手だった。
●日本ではテレビ局だけが「フィーバー」
WBCはMLBと日本の大手広告代理店が仕組んだイベント。しかも主催側のMLBが米国代表チームに有力選手を送り込まないのだから、コンテンツとしての質は低い。中南米各国は本気かもしれないが、そもそも野球大国の米国、日本のMLB選手が出場しないのだから、どうしようもない。米国では、公式大会として認識されていないともいわれる。日本の野球ファンもWBCのクオリティに疑念を抱いていて、概ね、冷静にこの大会を受け止めているように思える。当然、国民的な盛り上がりには至っていない。日本プロ野球選手会は、当初、大会出場辞退を表明していた。そういう選択肢も今後、大いにあり得る。
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