今年のプロ野球の話題の新人投手、大谷(日ハム)・菅野(読売)に続いて、藤浪晋太郎投手(阪神)のオープン戦登板の様子をCATVで見た。結論から言えば、3人の中で最も劣る。弱点は以下のとおり。
(一)フィジカルが弱い。 身長はあるが、その分、下半身・体幹が鍛えられていない。フィジカル面で大谷、菅野に相当見劣りする。この日の相手であるオリックスの打者は、長いリーチに最初戸惑って凡退を繰り返していたが、球数が90球を超えたあたりから球の威力が落ち、打ちごろの半速球になったところを連打された。
(二)投球フォームが悪い。 ▽肘が下がり気味で、高めの速球に威力がない。いわゆる浮き上がるような感じがない。最速で140キロ台後半(筆者が見た限りでは3球くらい)で、概ね速球はよくて140キロ台前半どまり。球筋はややシュート回転気味で、いわゆるクロスファイアーが投げられない。よって、左打者に打たれやすい。 ▽力むと極端に頭が揺れ、キャッチャーミットから目線が離れる。この極端なヘッドの揺れは、下半身と体幹が弱いため、上体のバランスが崩れる結果だろう。このままだと、故障しやすい。
(三)走者を背負ったときのクィックができない。 藤波の特徴は球を長くもとうとする意識が投球フォームに反映されていて、その結果、彼の長いリーチが生かされ、慣れない打者はタイミングがとりにくくなる。ところが、走者を背負うと、盗塁を警戒して球持ちが早くなり、球速が極端に落ち、ボールの出所も打者から見やすくなる。しかも、バランスを崩す場合が多い。
反対に藤波の良さは、落ちるボールを筆頭に変化球のコントロールが良いこと。この状態のままならば、プロでは変化球投手の位置づけで終わる。一軍登録したとしても、出番は短いイニングの中継ぎか、敗戦処理くらいだろう。もちろん、年間ローテーションの一員とするのは無理である。
筆者が阪神の投手コーチならば、入団年の今年は一軍登録を諦める。身体を鍛えなおし、一年間、投げられる肉体を作り上げることに専念させる。そののち、投球フォームの修正を図る。それでもスピードが出ないのであれば、サイドスローに改造する手もなくはない。腰の回転がサイドに向いているような気がする。スライダー、シンカー、カットボールを磨いて、かつて読売で活躍した斉藤雅樹のような投手になれば、儲けものである。
いずれにしても、戦力として計算できるようになるには相当な時間を要することだろう。
|