2013年05月30日(木) |
日本、欧州中堅国に歯が立たず |
5月30日、サッカー日本代表は親善試合のブルガリア戦に0−2で完敗した。日本の内容は最悪だった。失点は、3バックで試合に入った前半開始早々、相手フリーキックをGK川島がパンチミス。雨が降っていたとはいえ、一国の代表GKがするようなプレーではない。2失点目は、後半、4バックに戻して攻撃にリズムが出たところ、やはり相手フリーキックを自陣ゴール前でDF長谷部がクリアミスしてのオウンゴール。
守備はメタメタだったが、攻撃面もひどかった。欧州の中堅国ブルガリアの早い寄せにチャンスをつくれない。噛ませ犬よろしくモチベーションの低い「代表」とホームの親善試合で勝ってFIFAランキングを上げてきた日本だが、欧州の中堅国がやる気をみせると、ホームでも勝てない。この現実から、「日本代表」のあり方を考えないと、思わぬ結果を招きかねない。もちろん、予選を前にして、「手の内を見せたくない」という気持ちもあるだろうが、この試合は日本のサッカーの内容がひどすぎた。
課題というよりも問題を残しながら、6月4日のブラジルW杯アジア最終予選 オーストラリア戦を迎えることになる。オーストラリア戦、引分(勝ち点1以上)または勝利ならば、開催国以外で世界最速の予選突破をとげることになるが、親善試合の内容が内容だけに、心配だ。
思えば3月26日のヨルダン戦(アウエー)に、日本が1−2で負けたことが、オーストラリア戦の緊張を高める結果になった。ホームとはいえ、ヨルダンとオーストラリアを比較すれば、オーストラリアのほうが実力ははるかに上。しかも、オーストラリア代表の主力選手は自国以外でプレーする者が多いだけに、各国のリーグが終了したこの時期、彼らはリーグ戦から解放されて代表戦に集中できる利点がある。日本代表の海外組にも同じことが言えるが、オーストラリア代表はベテランが多いだけに、コンディションづくりの面では、オーストラリアに優位に働く。
オーストラリア代表は前出のとおりベテランが多い。2006年W杯ドイツ大会に選出された代表選手が、現在の代表チームに多数残存している。GKシュワルツアー(40才)、GKガレコビッチ(32才)、DFミリガン(27才)、DFウイルクシャー(31才)、DFニール(35才)、MFヴィドシーチ(26才)、MFジュディナク(28才)、FWケイヒル(33才)、FWブレッシアーノ(33才)、FWケネディ(30才)である。先発メンバーは予想できないが、GKはフィールドプレイヤーとは異なるので除くとしても、ケイヒル、ブレッシアーノ、ニール、ウイルクシャー、ミリガンは先発で出てくる可能性が高い。
オーストラリアのこのような状況は若手の育成に失敗している証左であり、代表チームづくりがうまくいっていない現状を反映している。これは日本には有利な点ではあるが、その分、オーストラリアは試合巧者、経験豊富であるともいえる。オーストラリアのベテラン主力選手がブラジルにむけてどれだけモチベーションを発揮できるかがポイントだろう。
オーストラリアの戦術は、高さを生かしたゴール前のロングボール、キックアンドラッシュの中央突破、サイドからの早いクロスが予想される。もちろん、日本の弱点であるセットプレーもオーストラリアのストロングポイントだ。日本代表選手は、パワーを生かしたサッカーに弱い。とりわけ、遠藤、長谷部の守備的ミッドフィルダーのフィジカルが弱い点が気がかり。
日本の勝機は、運動量、前線からのプレス、相手フリーキックにおけるマークの徹底により、開かれだろう。キープレイヤーは本田の欠場を前提として、香川以外にはいない。香川が相手ゴール前で躍動しなければ、日本にとって悪い結果が待ち受けている可能性が高い。
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