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2013年06月09日(日) 日本、ブラジルW杯出場決める

サッカー日本代表は4日、オーストラリアとホームで引き分け、W杯ブラジル大会出場を決めた。日本は前半からやや優位な状況で試合を進めたものの、後半36分、相手クロスが直接GK川島の頭を越えてゴールインという不運な失点で先行された。しかし、タイムアップ直前、相手選手のハンドの反則でペナルティーキックを得、本田が落ち着いて決めドローとした。日本は1998年フランス大会以降、自国開催の2002年日韓大会を含め、5大会連続のW杯出場を果たした。

W杯アジア予選B組、日本は1試合を残してW杯出場を決定した。このことは、少なくとも、アジアでベスト4の実力を証明したことになる。B組の残り1枠は、2位オマーンと3位オーストラリアが勝ち点2差でW杯出場権を争う。オーストラリアは11日・ヨルダン戦、18日・イラク戦をいずれもホームで戦う。オマーンは18日・アウエーでヨルダン戦を戦う。残り2試合をホームで戦うオーストラリアが優位にあることは間違いなさそう。オマーンがアウエーのヨルダン戦に勝って勝ち点3を積み上げても、最終の勝ち点は12までしか伸ばせない。ところが、オーストラリアは2勝すれば勝ち点を最終13まで伸ばすことができる。一方のA組では、韓国、ウズベキスタン、イランがしのぎを削っていて、3チームのうちどこが勝ち残るか予断は許されない。

日本はアジアの4強にすぎない。課題は多い。第一に、パワーサッカーに勝ちきれない点。アジアでは最強のパワーを誇るオーストラリアとは、2試合戦って2試合ともドロー、つまり勝っていない。当コラムで何度も書いていることだけれど、オーストラリアはドイツ大会の代表選手がいまだ主力を構成する、ロートルチーム。若手育成に失敗していて、どの試合も後半、運動量がガクッと落ちる。それでも、日本は勝てない。パワーで劣る相手に、日本は勝ちきれない。

オーストラリア戦の前の親善試合に0−2で負けたブルガリア戦からもその傾向は明らかだ。ブルガリアはW杯欧州予選では2位を確保できない欧州の中堅クラス。このクラスとアウエーで五分に渉りあえるくらいでないと、W杯ベスト8の常連国にはなれない。

課題の第二は、アウエーにおける試合の進め方がうまくないこと。アウエーではオーストラリアと引き分け、オマーンに勝ち、ヨルダンに負けた。格下のヨルダンに競り負けるようでは、この先、アジアでベスト4の地位を確保できるとは限らなくなる。日本には、ここ一番のアウエー戦に負けないような自力はついていない。

課題の第三は決定力・攻撃力の弱さ。パスサッカーが日本の進む道だとは思うが、ゴール前で相手を完全に崩し、GKと1対1をつくってゴールを決めなければいけないというイメージが強すぎる。世界レベルのサッカーでは、とにかくまず、“シュートありき”ではないか。強いストライカーの不在が日本の最大の弱点の1つだ。

課題の第四は、とにかく“本田頼み”の日本代表だということ。課題の四にしたけれど、第一番目かもしれない。精神的にもボールキープという面でも、本田不在の日本代表はあらゆる面での「弱さ」が目立つ。

ザッケローニは、W杯予選の全過程を通じて、手固い選手起用を行ってきた。それが、総合的にみて、予選突破という最低限の目標達成の最善手だったことを否定しない。結果が示す通り、ほかに打つべき手はないかのように思える。グローバルに選手が分散する今日のサッカー状況においては、代表チーム強化の手法としては、これしかないのかもしれない。

しかし、日本代表が海外から呼ばれて試合ができるようになれば、いろいろな選手をテストする可能性も広がる。現在のように、国内親善試合であるキリン(カップ)に縛られた日本開催日程を消化するだけでは、海外組を日本に呼び寄せ、彼らと国内組のコンビネーションを熟成することに親善試合の目的が収斂してしまう。

だが、欧州で親善試合をするときは海外組主体、日本で親善試合をするときは国内組主体と、代表チームの主力を使い分けるような選手起用もあり得る。このような選手起用は、日本の代表サポーターとスポンサーの理解がないとできない難点をもっているが、ブラジル代表、アルゼンチン代表はそうした代表チームのつかいわけをしている。使い分けた代表チームがテストマッチを繰り返しつつ、本番では直前にベストメンバーを組み、短期間にコンビネーションを熟成し、W杯に臨むという手法だ。そうなれば、代表選手の発掘も広く実戦において果たされるかもしれない。


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