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2013年06月16日(日) 日本とブラジルの実力差明らか

<コンフェデレーションズ杯:日本0−3ブラジル>◇1次リーグA組◇15日◇ブラジリア

日本代表が開幕戦で開催国のブラジルに完敗。前半開始3分にネイマール(サントス)の豪快ミドルで先制を許すと、後半開始すぐにも2点目を献上。後半ロスタイムにはカウンターから、DF吉田麻也(サウサンプトン)があっさりと裏をとられ、ダメ押しの3点目を許した。攻撃面でも攻め手なく、点差以上の完敗だった。「W杯優勝」を目標に掲げ、コンフェデ杯にも「勝ちに来た」と前日記者会見で大見得を切った日本代表だが、完敗により、大言壮語の虚しさばかりが印象に残った。

日本代表とブラジル代表の質の差は明らか。ブラジル選手が日本刀の真剣のような強さ、鋭さ、切れ味の良さを感じさせるのに対し、日本代表のそれは竹光のように軽く鈍い。エースの本田は強いが、鋭さ、速さがない。香川は速いが軽い。岡崎は前への動きは非凡だが、先の丸い槍のようだ。残りの選手はすべて、軽くて柔らかくて鈍い、厳しさを感じない。

この差は何か。一般的には“フィジカルの弱さ”と評されるが、その表現で適切なのか。この差はむしろ、サッカー界を取り巻く風土の差といったほうがよいのではないか。相手にかけるプレスの弱さ、コンタクトプレーの脆弱さ、相手からかけられるプレスに対抗する弱さ、プレー全般における反応の鈍さ、一対一の弱さ、攻撃に対する意欲の低さ・・・ひ弱で軟弱な日本サッカー界全般を象徴している。

日本代表を取り巻く環境は甘い。日本がW杯の出場を果たすようになってから、代表戦が高視聴率を稼ぐ優良コンテンツに定着したものだから、マスメディアは腫物に触るかのように、日本代表を丁重に扱い続けている。日本代表監督は文化人のように扱われ、批判を受けない。代表選手はアイドル、タレント以上の扱いを受けている。

日本のメディアは、アジアでベスト4以内にすぎない日本の実力が世界レベルでどのくらいなのか、客観的に計ろうともしない。というのも、日本代表が行う、国内開催によるスポンサー付試合(=フレンドリーマッチ)は、噛ませ犬みたいな相手とばかりで、骨のある相手とは試合をしない。プロボクシングの日本人王者が国内で行う世界戦(防衛戦)と似たような構図だ。そこで勝利を上げてFIFAランキングを上げ、その現状に代表選手も指導者もメディアも、調子に乗りすぎている。もっと、厳しい客観的評価をしないと、日本代表は増長し、進化しない。

勝負だから、この先、日本がイタリアとメキシコに勝つ可能性はゼロとは言えない。だが、よしんば、そんな奇跡が起こったとしても、初戦のブラジルに負けた内容は、日本のいまの実力を表していると筆者は確信している。日本の将来はあまりに暗い。

さて、来年W杯地元開催するブラジル代表はどうなのか。日本戦は60〜70%のできだと思う。立ち上がりで先制点を上げてしまったこともあり、明らかに残り時間はギアを落とした。日本に楽勝して、イタリア戦、メキシコ戦にいくらかでも余力を残したい、というプランだったように思われる。

そんなわけでブラジルの調整具合を判断しかねるものの、攻撃の連携は甘いし、守備も厳しさに欠けているように思える。頻繁な代表監督交代がマイナスに働いている。本気を出していない、という見方でいいのだと思うが、ブラジルが今大会で優勝できるかどうかは不透明なままだ。


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tram