2013年06月20日(木) |
ザッケローニは名将かもしれない |
<コンフェデレーションズ杯:日本3−4イタリア>◇1次リーグA組◇19日◇レシフェ・ペルナンブコアリーナ
日本はイタリアに3−4で敗れ、2連敗で1次リーグ敗退が決定した。
●乱戦を裏付ける得点経過
両チームの得点経過を振り返ってみよう。
・前半21分、日本のDF裏への縦パスを拾ったデシリョからGKへのバックパスに、岡崎が飛び込み、GKブフォンに倒されPKを獲得。これを本田が左足でゴール右へ決め、日本が先制【日本1−0イタリア】
☆前半33分日本、右CKからの流れで、ゴール前のルーズボールを今野がつなぎ、ペナルティーエリア内で相手DF2人の間で大きくワンバウンドしたボールを香川が反転して左のハーフボレーのゴール【日本2−0イタリア】
・前半41分イタリア、ピルロの右CKを中央でデロッシがヘディングシュート。これが綺麗に決まり1点差に迫る 【日本2−1イタリア】
・後半5分イタリア、ゴールライン付近のこぼれ球を吉田と競ったジャッケリーニが奪い、クロス。これをクリアしようと、バロテリの手前でスライディングした内田がオウンゴール【日本2−2イタリア】
・後半7分イタリア、長谷部のハンドでPK獲得。バロテリがゴール【日本2−3イタリア】
☆後半24分日本、長谷部が倒されて得た右サイドからのFKを遠藤がキック。これをニアサイドで岡崎が頭を合わせ同点【日本3−3イタリア】
・後半41分イタリア、今野の中途半端なクリアを拾われ、マルキジオの右からのグラウンダーのクロスをジョビンコが押し込み、再び勝ち越し【日本3−4イタリア】
●日本の失点は凡ミスから
それぞれの得点シーンの深層を見てみよう。
(一)前半21分の日本のPKは日本にとってラッキーな判定。PKを取らない審判のほうが多い。
(二)前半41分のイタリアのコーナーキックのとき、日本の選手が水を取りにいってゴール前を空けた。それを見てピルロが早めに蹴った。日本の守備は相手を捕まえられなかった。日本の集中力が切れたことによる失点といえる。
(三)後半5分の日本の失点はDF吉田のミスから。この大会、吉田の調子は悪い。
(四)後半7分の長谷部のPKは、審判の帳尻合わせ。前半日本のPKと相殺というわけ。
(五)後半41分の日本の失点は、前出のとおり、今野の中途半端なクリアを拾われたことがきっかけ。
すなわち、☆印=ミス及び誤審に係らない得点、すなわち、まともなそれは、日本が前半33分の香川のゴールと後半24分の岡崎のゴールの合計2。一方のイタリアはすべて日本DFのミスが発端となっていて、自ら切り開いたものではない。
日本にミスがなければ、勝てた試合だった。もちろん、得点というのは得点が入った段階で両チームの選手のメンタルな部分に多大な影響をもたらし、動きの質が変化するので、得点シーンだけを振り返っても意味はない。しかし、日本がミスを多発して、しかも、そのミスが試合を決定づけるという意味においてきわめて深刻なのだ、ということを理解する材料となる。
それだけではない。まず立ち上がりから、イタリアの動きが鈍い。中2日の強行スケジュールの調整に失敗したようだ。しかも、先制点は幸運なPKからだった。これは麻雀に譬えれば、配牌で役牌が対子でドラが暗刻というチャンス手をもらったようなものだ。このまま手なりで進めれば、満貫が上がれた。しかし、日本はミスミス上がり牌を見逃して上がれなかったような、残念な負け方だった。こういう負けは先日の当コラムに書いたとおり、日本の「甘さ」に起因する。
●ザッケローニは名将か
ザッケローニが――仮にも作戦として初戦のブラジルを捨て、このイタリア戦に勝負を賭けたとしたとしたら――ホームで圧倒的に優位にある開催国ブラジル戦は、批判を覚悟で戦わずに負けて体力を温存し、第二戦目の対戦相手イタリアは中2日で日本と戦わなければならないことを見越して、日本選手のコンディションをイタリア戦にピークにするよう指示したとしたら――彼を名将と呼んでいいと思う、すごい監督だということだ。
この試合をつくったのがザッケローニの作戦なのか偶然なのか、筆者にはわからない。だが、結果は強豪イタリアを追詰めたものの負けた、重なるミスによって。誠に残念というほかない。
|