2013年08月30日(金) |
セは読売、パは楽天で決まりかな |
2013シーズン・日本プロ野球の順位の行方が見えてきた。セは読売、パは楽天でほぼ決まりだろう。読売は27日・28日・29日、2位阪神との3連戦に3連勝し首位を固めた。残り29試合、阪神とのゲーム差は8(M23)となった。パの楽天も残り32試合で2位ロッテと5.5ゲーム差(M26)。
8月29日(午前)現在の順位は以下のとおり。 (セリーグ)読売、阪神、広島、中日、DeNA、ヤクルト (パリーグ)楽天、ロッテ、ソフトバンク、西武、日本ハム、オリックス さて、今年3月26日付の当該コラムにおける筆者の順位予想は以下のとおり。 (セリーグ)読売、広島、ヤクルト、中日、阪神、DeNA (パリーグ)ソフトバンク、日本ハム、楽天、オリックス、西武、ロッテ あのときの予想の根拠を抜粋して書くと、以下のとおりであった。
(セリーグ) (1)読売の戦力が群を抜いていること。 (2)その読売の弱点を敢えて挙げれば左投手不足。セットアッパー山口、中継ぎの高木康と高木京の力不足。先発では内海、杉内が下り坂。 (3)広島東洋、東京ヤクルトは投手陣が安定 (4)阪神は、元メジャーの西岡、福留に期待できない。とりわけ福留は、現役限界ラインに到達。深刻なのは抑え。藤川の代役が埋まらず。 (5)中日、横浜DeNAは投手陣が悪い。
(パリーグ) (1)北海道日ハムは田中・糸井が抜けた大穴が埋まらず。 (2)新人大谷の「二刀流」は愚策 (3)パリーグは戦力が拮抗していて、どこが優勝するかわからない。筆者の予想順位は、ポストシーズンに残る可能性が高い3チームという意味。 (4)ダークホースとしてオリックス。糸井、坂口、T−岡田、イデホと並んだ重量打線は破壊力十分。
順位予想は大幅に間違った。その主因は、公式球の仕様変更すなわち「飛ぶボール」の使用にある。昨シーズンに比べて打が投より数段優位に立った。パワーヒッターを抱えるチームほど成績がいい。
なかで読売の戦力はやはり予想以上の充実ぶりだった。過剰ともいえる。野手陣は、長野、亀井、矢野、ボーカー、高橋、松本、村田、坂本、ロペス、阿部、寺内、藤村、二軍に谷、小笠原が控える豪華メンバー。2チーム分以上の戦力を保有していると言って過言でない。故障で戦線離脱したが、新戦力中井の台頭もあった。
読売の弱点として指摘した左投手だが、リリーフ陣では、まったくノーマークだった青木が活躍し、読売のピンチを幾度となく救った。不調の高木京の代役以上の働きをした。青木、マシソン、山口、西村のブルペンは豪華そのもの。他チームであれば切り札となれるクローザーを4枚もっているようなものだ。スターターでは筆者が不安視した内海が後半なんとか持ち直したし、杉内も故障しなかった。
5位とした阪神が2位と健闘しているが、やはり、クローザー不在が読売との差となって表れている。MLBに移籍した藤川の代役を務められる人材がいなかった。29日の読売との試合がそのことを最もよく象徴している。この試合、先発の能見がわずか1点のリードで9回まで続投。このことは、阪神に信頼できるクローザーが不在であることの表われだ。能見は9回無死一、三塁から坂本の犠打で同点に追いつかれ降板した。そればかりではない。阪神は延長10回、若手クローザーの松田を送り込んだが、読売・長野がその松田からサヨナラ本塁打を放ち阪神に3連勝。引導を渡した。
MLBに移籍した藤川は、故障でMLB一年目シーズンを棒に振った。なんとも皮肉な話だ。
阪神の元MLB西岡、福留の2選手については、西岡が打率286と、まあまあの成績。福留は2度の故障で43試合出場にとどまっている。打率は196の低率。筆者の現役「限界説」が実証されたシーズンとなりそう。
マスメディアは「巨人・阪神」伝統の優勝争いと騒いでいたが、戦力差は明らか。繰り返すが、打高投低の「飛ぶボール」の今シーズン、スターターの完投は至難のワザ。リリーフ陣の層の厚さが勝負を決めるケースが多い。読売は、メジャー通算233試合、13勝13敗、防御率3.99のパナマ代表のアコスタが一軍登録されないで二軍暮らし。マシソンがだめなら、アコスタというわけだ。ほかにも、高木康、久保、小山、越智、野間口、笠原、田原、江柄子といった他球団ならローテーション入りかクローザークラスの人材が、ゴロゴロと二軍に転がっている。豊富な資金力にものを言わせ、調子が悪くなったら控えはいくらでもいるよ、とレギュラークラスに圧力をかけ続けている。これで優勝できなければ、監督が悪いと言われて仕方がない状況だ。
さて、順位に戻ると、セの3位争いは広島、中日、DeNAが僅差でしのぎを削っている状態。どこが抜け出すかわからない。とはいえ、この3球団は勝率5割以下。クライマックスシリーズでリーグ戦5割以下のチームが阪神、読売をやぶって勝ち抜いたら、それこそ珍事だ。パは5位の日ハムまでチャンスがある。おそらく上位3チームは勝率5割を超えそうだから、まともなクライマックスシリーズになりそう。
筆者が首位と予想した日ハムが5位に低迷しているが、原因は言うまでもなく、大谷の「二刀流」起用にある。投に与えた影響は、ローテーションが確立せず、さらに、大谷の中継ぎ登板まであって、役割分担が明確化されなかった。打では、打順が一定せず、だれがレギュラーでだれが控えなのか混沌としてしまった。チームに落ち着きが戻らず、浮ついたシーズンで終始しそうだ。
打撃陣の田中、糸井の移籍は確かに戦力的にはマイナスだが、大谷という逸材を得たのだから、彼を、年間を通じて、ローテーションに入れるか中継ぎで使うかして、まずは守りを固めるべきだった。日ハムがクライマックスに進出できなかった場合の責任は、栗山監督の「大谷の起用法」にあったと総括できる。来シーズンは、投手大谷の能力を伸ばすことに注力することだ。そうすれば、投手力アップに確実につながるはず。
セ・パともこの先、奇跡が起きないとはもちろん言えない。だが、セもパも、このまま、読売、阪神、広島が、そして、楽天、ロッテ、ソフトバンクが、クライマックスに進出し、順位どおり日本シリーズ進出となる可能性が高そうだ。
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