Sports Enthusiast_1

2013年09月07日(土) 最低の親善試合

<国際親善試合:日本3−0グアテマラ>◇6日◇長居

セルジオ越後氏の言うとおり、意味のない試合だった。筆者の印象では、この試合は親善試合のなかで史上最悪のものの一つだった。前半は、やる気のないグアテマラにお付き合いした日本が無得点。後半は先発を外れた本田が出場して先取点を上げ、ようやく落ち着いた日本。その後、順当に追加点を上げて3−0の勝利。このことを裏返せば、相変わらずの「本田頼み」の日本ということだ。格下の相手であっても、本田抜きでは得点が上げられないのが日本代表のサッカーのクオリティー。筆者は「本田外し」を提案したけれど、実際に本田を外したら、格下にも勝てなくなるというわけか。

問題の第一は、マッチメークのミス。この時期、日本に来てくれる代表チームが見つからなかったのだろう。ならば、やらないほうがいい。日本代表にキリンの冠がつく以上、興行的に海外チームと代表戦を組まなければならい事情があることは理解できる。だが、こんな相手のために欧州から日本に帰国する「海外組」が可哀そう。コンディション的には相当マイナスだろう。マンチェスターユナイテッドでレギュラーになれない香川真司、股関節の故障が完治しないサウサンプトンの吉田麻也の2人が特に心配だ。

この試合をもって、いまの日本代表の状態を判断することは不可能。ディフェンス陣の立て直しができたのか、攻撃における決定力が上がったのか――を問うこと自体がナンセンスというもの。

日本代表の問題ではないが、なぜ日本のスポーツメディアは、グアテマラ代表について報道しないのだろうか。グアテマラは、ブラジルW杯北中米予選ですでに敗退しており、代表チームとしては空白期にあると報道したメディアは管見の限り、存在しない。このたび来日した代表選手は「国内組」で構成されていることは中継で説明されたが、ならば、かの国の主力の選手はだれなのか。なぜ、その主力選手は日本に来なかったのか。かの国の国内リーグの事情はどうなっているのか…

相手がどの程度の力なのかを知らなければ、日本がそこに勝っても負けても、試合の意味がわからない。日本が勝てば称賛し、負ければ「課題山積」と叩くだけの日本のスポーツメディア。結果次第の報道ならば、知力はいらない。結果を導くまでの推論を構成するためには事前の情報が必要であり、それを伝えるのがスポーツメディアの役割ではないのか。代表サポーターが相手を分析しつつ、日本の勝敗の行方に心驚かすことが、サッカー文化というものではないのか。

大きな旗を振って、大声と身振りで応援するだけならば、セルジオ越後氏が言うように、ロック・コンサート(ライブ)と同じではないか。頭の中は空っぽで、日ごろの鬱憤をサッカー会場で晴らすだけの代表サポーターならば、サッカーを観戦する資格はない。日本代表が自分たちの期待値に応えていないならばブーイング、相手がファイトしないのならばブーイング、やる気のない試合ならば、カネを返せと叫ぶべきだ。


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tram