2013年09月12日(木) |
強化にならない興行(キリンチャレンジカップ) |
<国際親善試合:日本3−1ガーナ>◇10日◇横浜国際総合競技場
日本がアフリカの強豪ガーナに快勝した、と言っても、前のコラムで書いたようにガーナの2軍が相手。しかも、相手は6日にワールドカップ最終予選を戦った後、19時間もの長旅をして8日に来日し、10日に試合に臨んだわけで、疲労困憊した状態だっただろう。
ガーナの先発メンバーは以下のとおり。 (GK)ブライマ (グアダラハラ/スペイン) (DF)インコーム(ドニプロ/ウクライナ)、ボアテング(TPマゼンベ/コンゴ民主共和国)、スマイラ(マメロディ・サンダウンズ/南アフリカ)、ボエ(レンヌ/フランス) (MF)チブサ(パルマ/イタリア)、 アチェアンポング(アンデルレヒト/ベルギー)、アドマ(ミドルスブラ/イングランド)、アッフル(エスペランス・スポルティーブ・ド・チュニス/チュニジア) (FW)アツ(FCポルト/ポルトガル)、ワリス(スパルタク・モスクワ/ロシア)
詳細な試合内容については省略する。大雑把に言えば、プレスの弱いガーナに対して日本がボールを概ね支配し、主導権を握ることができた。ガーナは日本のボールを奪って早いカウンターを仕掛ける攻撃に特化していた。ガーナの先制点もそうだった。しかし、時間の経過とともにガーナの足がとまり、日本の得点機会が増え、日本が逆転した。
この結果をもって日本が復調したとは言えない。辛口評論家諸氏が指摘するように、キリンチャレンジカップ(グアテマラ戦、ガーナ戦)で日本代表が得るものはなにもなかった、いや、サッカー協会は多額の興行マネーを得た。つまり、興行収入以外に日本代表が得たものはなにひとつないばかりか、強化の機会を浪費したという意味でこの2試合はマイナスだった。
繰り返すが、来日したガーナ代表は主力不在、コンディションは最悪(だと推測する)、代表試合に出場する機会の少ない選手構成なので組織力もない。その前の試合のグアテマラ代表は、W杯予選の敗退が決まった、モチベーションがゼロに等しい相手。そんな2チームに2勝したからといって、喜べるものではない。
日本の課題は守備であった。具体的には、▽チームとしての守備の意識と規律の不在、▽不安定なCBをどうするか、▽ボランチ2選手の高齢化(フィジカル不足)であったのだが、それらが克服されたとは思えない。求められるのは、前線からの守備、攻撃から守備への切換えの早さ、そして、それらを90分やりきること。
そういう意味で、日本代表選手に求められるのはサッカー選手としてのフィジカル面の強さだ。守備の意識と言っても、それをやりきる体力がなければ話にならない。とりわけ、アウエーでの強靭さが求められる。ホームで軟弱な相手と軟弱な試合を何試合やっても、日本代表は強くならない。
攻撃面の深刻な課題は、ワントップ(FW)の人材不足。期待された柿谷が軟弱な相手との2試合にもかかわらず、無得点と結果を出せなかった。
得点者を見ると、グアテマラ戦が、後半5分本田、 後半24分工藤、後半31分遠藤、ガーナ戦が後半5分香川、後半19分遠藤、後半27分本田と、いずれも日本の先制点は本田、香川の既存戦力で新戦力ではない。新戦力の得点者は工藤だけだ。しかも、工藤のグアテマラ戦における得点は、グアテマラ戦の本田の先制ゴール、ガーナ戦の香川の同点ゴールに比べると、得点(ゴール)の価値はあまり高くない。換言すると、試合を決定づけるような重さがない。ワントップが得点を上げ、試合を決めるような実績がほしい。
以上を総括的に言えば、日本代表はコンフェデ杯から続いているままの日本代表ということ。DF吉田の回復状態がどの程度なのかも、部外者の筆者にはわかりかねるが、コンフェデのときよりは良くなっているようにも思える。吉田の復調が数少ない光明か。
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