2013年10月17日(木) |
日本とベラルーシ、どちらが「格下」? |
<国際親善試合:日本0−1ベラルーシ>◇15日◇ベラルーシ・ジョジナ
まず日本のマスメディアに言っておきたいのは、対戦相手のベラルーシ(FIFAランキング80位)を「格下」と表現することの愚。FIFAランキングをメルクマールにしての表現とは思うものの、サッカーの質をわきまえるならば、日本の42位はあり得ないランキングであるは明らか。日本の42位は、ホームの親善試合の勝利で跳ね上がったバブル・ランキングであって実力ではない。それが証拠に、日本代表は、日本のマスメディアが言う「格下」を相手に、90分間、ほとんど仕事ができなかったではないか。日本が敗けたから言うのではない。日本代表は、代表監督であるザッケローニ、代表レギュラー選手たち、そしてそれを取り巻く日本のマスメディアを含めて、大いなる勘違いをしていたことを反省したほうがいい。
試合の詳細は省略する。言えるのは、90分間を通じて、日本代表選手はベラルーシの強い寄せ、プレスにたじろぎ、パスを後方の空きスペースに配するにとどまったという事実。攻撃的な形ができていたという報道もあるようだが、筆者がTV観戦した限り、日本が主導権をとった時間はほとんどなかったように見えた。ポゼッションの割合は高いのかもしれないが、相手ゴールに迫れたのは3シーンにすぎなかった。
筆者はベラルーシのサッカー事情について全く知らない素人だが、一部報道によれば、先に行われたW杯予選スペイン戦に出場した主力はこの試合に出場していないという。つまり、セルビア同様、ベラルーシも日本に対して2軍もしくは1.5軍を送り込んだようだ。もちろん日本はベストメンバー。それでも日本は「格下」とやらに負けたのだ。
ベラルーシのとった選手起用を日本ホームに置き換えるならば、日本が本田、香川、長友といった主力を外してFIFAランキング上位のたとえばフランス(同25位)に勝ったようなもの。サッカーだから何があるかわからないが、ホームとはいえ、日本代表の1.5軍〜2軍がフランス代表に勝つことは考えにくい。では、ベラルーシがジャイアント・キリングをやってのけたのかと言えば、そんなことはない、ごく自然な勝利だった。というのも、日本のサッカーがセルビアに負けたときと何も変わっていないからだ。つまり、ベラルーシは実力どおり、日本に勝ったにすぎない。日本を含めたアジアのサッカーのレベルの低さが証明された試合だった。繰り返すが、日本のFIFAランキング42位はバブル。日本が海外で親善試合を重ねればバブルがはじけ、日本のランクは60〜80位程度に落ち着く、というのが筆者の見解だ。
さて、敗因については、先のセルビア戦と変わらない。この敗戦を受け、「閉塞感」という見出しを冠したスポーツメディアがあったが、誠に適正でいい表現だ。日本代表選手は精神的にも肉体的にも、ベラルーシに追い込まれてプレーをしていたように見えた。こうした試合内容及び敗北の連鎖を断ち切れない状況を含め、日本代表は「閉塞状況」にある。
その根源にあるのが、日本代表選手のフィジカルの弱さ。とりわけ、ボランチ(遠藤・長谷部)及びCB(今野・吉田)は絶望的に弱い。この4選手は賞味期限切れかもしれない。攻撃陣でも、ボールが収まらないワントップ柿谷、キレのない香川は代表から退いた方がいいのではないか。いまさらながら、佐藤寿人(広島)を切ったザッケローニが恨めしい。
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