2014年02月25日(火) |
2014シーズン日本プロ野球順位予想(1) |
(その一)読売がリーグ優勝する可能性は高いが・・・
◎野手陣は大型補強でますます戦力アップ
読売が補強によって獲得した新戦力は、以下のとおり。
(野手陣) レスリー・アンダーソン外野手(31)=レイズ傘下3Aダーラム、片岡治大内野手(30)=前西武(FAで獲得)、井端弘和内野手(38)=前中日、
(投手陣) クリス・セドン投手(30)=韓国SK、大竹寛投手(30)=前広島(FAで獲得)
一方、退団選手は、
(野手陣) 脇谷亮太内野手(32)=西武へ(片岡のFA補償)、ジョン・ボウカー外野手(30)=退団、小笠原道大内野手(40)=FA宣言し中日へ、谷佳知外野手(40)=退団→オリックス移籍
(投手陣) マニー・アコスタ投手(32)=退団、デニス・ホールトン投手(34)=退団、一岡竜司投手(22)=広島へ(FA大竹の人的補償)、である。
退団した選手のうち、同じリーグ(セリーグ)に移籍したのは一岡、小笠原の2選手。一岡は育成途上にあり即戦力とはならないし、小笠原は峠を越した超ベテラン。読売にとって痛手とはならない放出といえる。つまり、昨シーズンと同様、読売が他球団に比べておよそ2チーム分以上の戦力を保持していることにかわりない。
今季の補強ポイントは打てる二塁手ということで、片岡、井端をとった。そのため二塁のポジションは人材余剰状態になった。藤村、中井、寺内を併せると、同一ポジションにレギュラークラス5人もがひしめいている。誠にもったいない。
◎内海、杉内の先発左腕は限界か?
二塁に限らず読売の野手陣は概ね余剰人材だらけで、よって、読売がセリーグの優勝候補であることは否定しようもないのだが、綻びは出ている。綻びとは盤石といわれる投手陣だ。セットアッパーの鉄腕・山口が左肩違和感で戦線を離脱したし、昨シーズンの日本シリーズで力の衰えが目立った杉内も調整が遅れている。そもそも杉内は慢性的故障を抱えた投手。
スターターをみると、内海(左)、菅野(右)、杉内(左)、大竹(右)、宮国(右)、沢村(右)、セドン(左)の中から5本柱を形成することになるが、前出のとおり、杉内の力の衰えが顕在化すれば、ローテーションから外れる。
読売投手陣のリーダー格であるベテラン内海も下降線にある。筆者は昨シーズン開幕前の拙コラムにおいて、内海は(13シーズンは)だめだと書いたが、結果は13勝6敗の好成績。筆者の予想は外れた。しかし、彼の防御率の推移をみると、2011シーズン=1.70、2012シーズン=1.98、2013シーズン=3.31と年々悪化していて、13シーズンは一挙に3点台に突入した。投球イニング数も11シーズン=185回2/3、12シーズン=186回、13シーズン=160回1/3と減少傾向で、しかも同じく一挙に20イニングの大幅減である。これは早い回に降板(KOされた)した試合が増えたためだ。三振奪取数も同じく144、121、107と年20ずつと大幅減少傾向にある。自責点に至っては、35、41、59とかなり悪い。それでも昨シーズン勝ち星をそれなりに上げられたのは、強力打線と充実したブルペン陣に助けられたためだと言っていい。
杉内、内海の左腕スターター2枚が“だめ”となると、その代りとなる左腕は新加入のセドンと今村だが、この二人が杉内、内海の代役というわけにはいかない。セットアッパーの高木京を先発にまわすことも考えられるが、山口が出遅れもしくは手術となれば、それも難しかろう。
◎右腕先発陣で計算できるのは菅野だけ
右腕のスターターはさらに深刻で、13シーズンで安定した実績を残したのは菅野だけ。筆者は昨年拙コラムにて、菅野の投球フォームの欠陥を指摘しておいた。筆者の見立てでは、菅野は本格派というよりも変則技巧派。肘(トップ)が下がり気味でふりが小さいため、打者がタイミングをうまくとれない投法。逆にそのため、肘、肩に大きな負担がかかる。菅野のような傾向の投手の寿命はえてして短い。菅野については昨年拙コラムでそのことを書いたので繰り返しになるが、今季、昨シーズン以上の実績を残せるか疑問だ。
沢村は昨シーズン先発失格したくらいだし、宮国はとにかく安定感がない。移籍の大竹に期待がかかるが、10勝がいいところか。沢村、宮国に小山(右)、笠原(右)らを加えた若手が一本立ちしないと、読売のスターター陣は完全崩壊する。
◎山口戦線離脱なら読売に危機到来
ブルペンは前出のとおり、山口がどうなるか。セットアッパー、クローザーは疲労が蓄積する仕事だけに、鉄腕山口もそろそろ――という懸念は残る。山口が“だめ”な場合、左のセットアッパーの代役としては昨年活躍した青木を第一候補として、阿南、高木京あたりが思い浮かぶが、いずれも力はそうとう落ちる。一方の右はマシソンが健在で心配ない。
クローザーの西村も健在だが、彼がクローザーに転向してちょうど3年目。肩・肘に負担のかかるフォークを決め球としているだけに、昨シーズンと同程度もしくはそれ以上の投球(ボールの威力)が維持できるか。西村が不調の場合は、マシソンがクローザーにまわり、沢村がセットアッパーに定着せざるを得なくなる。そうなれば、読売の投手陣は火の車だ。
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