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2014年03月07日(金) 疑問だらけのNZ戦―サッカー日本代表練習試合−

◎国際Aマッチデー

2014年3月5日は国際Aマッチデー。W杯イヤーを反映してなのだろうか、世界中でおよそ60試合が行われた。対戦国を分別すると、(1) W杯出場国同士の試合、(2)出場国とそうでない国の試合、(3)不出場国同士の試合――となる。

最初にW杯予選グループの組み合わせについて、おさらいしておこう。

(A組)ブラジル・クロアチア・メキシコ・カメルーン
(B組)スペイン・オランダ・チリ・オーストラリア
(C組)コロンビア・ギリシャ・コートジボワール・日本
(D組)ウルグアイ・コスタリカ・イングランド・イタリア
(E組)スイス・エクアドル・フランス・ホンジュラス
(F組)アルゼンチン・ボスニアヘルツェゴビナ・イラン・ナイジェリア
(G組)ドイツ・ポルトガル・ガーナ・アメリカ
(H組)ベルギー・アルジェリア・ロシア・韓国

前出の分別は以下のとおり。

(1)については、
オーストラリア(B)3 - 4 エクアドル(E)、ギリシャ(C)0 - 2 韓国(H)、スイス(E) 2 - 2 クロアチア(A)、スペイン(B)1 - 0 イタリア(D)、ドイツ(G)1 - 0 チリ(B)、フランス(E) 2 - 0 オランダ(B)、ベルギー(H)2 - 2 コートジボワール(C)、ポルトガル(G)5 -1 カメルーン(A)、メキシコ(A)0 - 0 ナイジェリア(F)、

(2)については、
アルジェリア(H)2 - 0 スロベニア、イラン(F)1 - 2 ギニア、イングランド(D)1 - 0 デンマーク、ウクライナ 2 - 0 アメリカ(G)、オーストリア 1 - 1 ウルグアイ(D)、コロンビア(C)1 - 1 チュニジア、ホンジュラス(E) 2 - 1 ベネズエラ、ボスニアヘルツェゴビナ(F) 0 - 2 エジプト、モンテネグロ 1 - 0 ガーナ(G)、ルーマニア 0 - 0 アルゼンチン(F)、ロシア(H)2 - 0 アルメニア、南アフリカ 0 - 5 ブラジル(A)、日本(C)4 - 2 ニュージーランド(以下「NZ」と略記)
※( )内は予選グループ区分

(3)については、
アイルランド 1 - 2 セルビア、アゼルバイジャン 1 - 0 フィリピン、アルバニア 2 - 0 マルタ、アンドラ 0 - 3 モルドヴァ、イスラエル 1 - 3 スロバキア、インド 2 - 2 バングラデシュ、ウェールズ 3 - 1 アイスランド、キプロス 0 - 0 北アイルランド、グルジア 2 - 0 リヒテンスタイン、ザンビア 2 - 1 ウガンダ、セネガル 1 - 1 マリ、セントルシア 0 - 5 ジャマイカ、チェコ 2 - 2 ノルウェー、トルコ 2 - 1 スウェーデン、ナミビア 1 - 1 タンザニア、ハンガリー 1 - 2 フィンランド、ブルガリア 2 - 0 ベラルーシ、ブルキナファソ 1 - 1 コモロ諸島、ブルンジ 1 - 1 ルワンダ、ボツワナ 3 - 0 南スーダン、ポーランド 0 - 1 スコットランド、マケドニア 2 - 1 ラトビア、マラウイ 1 - 4 ジンバブエ、モザンビーク 1 - 1 アンゴラ、モロッコ 1 - 1 ガボン、モーリタニア 1 - 1 ニジェール、リトアニア 1 - 1 カザフスタン、ルクセンブルク 0 - 0 カーボベルデ諸島、

◎なぜ日本の相手がNZなのか?

テストマッチとはあくまでも練習試合・親善試合なのであって、結果を深刻に求められるものではない。また、一覧すると、日本人には馴染みのない国同士の対戦もあるけれど、W杯出場国の動向としては、日本以外の代表チームは、それなりの相手と対戦していることがわかる。

たとえば、W杯出場国である隣国の韓国が、同じく出場国のギリシャ(日本と予選同グループ)を相手としている。ギリシャは日本を仮想して韓国と、逆に韓国はロシアを仮想してギリシャと対戦したのだろう。双方の利害が一致している。このマッチメークと比べると、日本の相手がNZというのはいかにも情けない。

韓国以外のアジア地区のW杯出場国については、イランがギニアと、オーストラリアはエクアドルと試合を組んでいる。オーストラリアがエクアドル(仮想チリ)を選んだのは、韓国と同じくらい賢明である。イランがナイジェリアを想定してギニアと戦ったのも理に適っている。

W杯イヤーのこの時期のテストマッチは、予選リーグで当たる相手と似たタイプの相手を仮想敵国としてマッチメークすることは常識。前出のとおり、ギリシャは日本の仮想として、アジアの韓国を選んだ。このマッチメークは論理的だ。一方、日本の対戦相手NZはC組のどこを想定しているのだろうか。TV報道によると、ザッケローニ代表監督がギリシャを想定してNZを選んだというのだが、まったく理解できないし、この報道を信じることもできない。ギリシャとNZのどこがどう似ているというのだ。まずもって、日本の練習試合の相手がNZというのが筆者には理解できない。

◎マッチメークも酷いが試合内容はもっと酷い

というわけで、日本対NZ。結果は4−2で日本が勝った。勝ったからと言って、この試合をみて、日本は順調にW杯に向かっていると考える人はまずいないだろう。前半、立ち上がりから動きの少ないNZ。プレスもなければチャージもない。日本に自由にもたせて、後ろに下がるだけの守備。TV画面からは、まるで白い棒(NZのユニフォームが白だった)の立ったフィールド(ピッチ)で日本代表選手が練習をしているかのようだ。前半だけで日本は4点をとったが、得点内容としては岡崎の得点シーン以外、見るべきものはなかった。その岡崎だが、見え見えの裏を取る動きがワールドクラスのDFで通用するとも思えない。

日本の楽勝というペースだったが、前半30分すぎからNZが日本にプレスをかけるようになり、まじめに守備をしだすと、日本から攻め手が消え、逆にミスを連発しだした。あれあれと見ているうち、日本は前半39分に失点、後半にも失点したばかりか、後半はチャンスらしいチャンスもなし。見るに堪えない試合内容となった。

◎海外組のコンディションが悪すぎる

とりわけ動きが悪いのが本田、香川、清武(後半)、細貝(同)、酒井宏、酒井高(同)の海外組。欧州からの移動でコンディションが悪いのだろう。それを考慮しても香川は重症だ。マンUで使われない理由がわかる。後半はミスが多くなり、有効な戦力ではなかった。まずまずだったのが長友だが、サイドからのクロスはワンパターン。

反対に、前半、鋭い動きを見せたのが青山、山口の守備的MF(ダブルボランチ)。Jリーグが開幕したばかりなうえ、移動を伴わない彼らは、海外組よりコンディションがいいのだろう。ただ、国内組とはいえ、後半から出場した遠藤がぎこちない。「日本の心臓」とまで言われた遠藤だが、得点機を演出するような動きが見られない。力が衰えたのか。

国内組のスーパーサブとして期待された斉藤もレベルが低すぎる。後半から交代出場した、前出のとおり、海外組の清武、細貝、酒井高、さらに、国内組の遠藤、豊田及び斉藤(この二人は持ち時間が少なすぎるので同情の余地はある)もまったく見せ場をつくれず、今回の代表チームが、チームとして機能していないことが明らかになった。

◎故障者続出、W杯まで日本代表は間に合うのか

海外組の長谷部、内田は重症。しかもこの期に及んで、国内組の今野、柿谷が発熱で離脱。W杯までの大事な準備期間、貴重な調整試合と言われながら、実態は海外組の顔見世興行だと悟って今野、柿谷はリーグを優先したか。さらに心配なのがDF(吉田、森重)。毎回、“課題はDF”と言われながら修正できない。失点はCBだけの責任ではないけれど、この程度の相手に2失点とは情けない。

W杯まで100日弱。時間はあるようでない。Jリーグから新星が飛び出してくるような予兆もない。この試合をもってW杯最終代表メンバーの選出根拠とすることは不可能とは言うものの、いちおう最終メンバー23選手を予想しておこう。W杯メンバー23名の選出は、(規定によりGK3名選出を除く)フィールドプレーヤーの場合、1ポジション2名の選出が一般的。日本代表の通常のフォーメーションは4−2−3−1だから、

GK
川島永嗣(スタンダール)、西川周作(広島)、権田修一(東京)=3(規定による)

DF(4)
内田篤人(シャルケ04)、酒井宏樹(ハノーバー)、今野泰幸(G大阪)、伊野波雅彦(磐田)、森重真人(東京)、吉田麻也(サウサンプトン)長友佑都(インテルミラノ)、酒井高徳(シュツットガルト)=8

守備的MF(2)
遠藤保仁(G大阪)、青山敏弘(広島)、細貝萌(ヘルタ)、山口蛍(C大阪)=4

攻撃的MF及びFW(3)
本田圭佑(ACミラン)、香川真司(マンチェスターU)、清武弘嗣(ニュルンベルク)、岡崎慎司(マインツ)、工藤壮人(柏)、大迫勇也(1860ミュンヘン)=6

ワントップ(1)
柿谷曜一朗(C大阪)、FWハーフナーマイク(フィテッセ)=2

手術したMF長谷部誠(ニュルンベルク所属)はW杯に間に合わないとみた。なお、予備登録は30名。残り6枠として、MF乾貴士(フランクフルト)、斎藤学(横浜)、FW前田遼一(磐田)、FW豊田陽平(鳥栖)、DF駒野友一(磐田)の5選手が予備登録(30名)に入ることは確実。ただ残り1名がわからない。扇原(C大阪)、大久保(川崎F)、高橋(FC東京)あたりか。だれが入るにしても、サプライズはいまのところ考えられない。


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