lucky seventh
DiaryINDEX|past|will
出来れば、きみのすべてが欲しかった。
・きみへ辿り着く道・
ローズン・フィーメーラは僕にとって、とても大事な女性(ヒト)だった。 世の中に存在するどんなに美しい女性も、彼女に出会った僕にとっては すべてが同じで、だから僕は平等に女性を優しく愛した。 女性は宝だと、尊敬する祖母に言われたから。 だけど、その行為か僕のとても大事な女性を追い詰めた。
「あんたは馬鹿よ」
姉のマルグリットは、鋭い鴬茶の瞳を細め言った。
「あの娘(コ)は言ってしまいました」
姉のジュリエッタは、鈍い鶸茶の瞳を潤ませて言った。
彼女のいなくなった部屋で、僕はやっとすべてを知った。 僕は遅過ぎたのだ。 彼女と他の部屋とをつなぐ居間の暖炉では、炎の悪魔が背を向けて その炎を頼りな気にゆらゆらと揺らめかせていた。
「ルカシクファー、君は知っていたの?」
ルカシクファーは答えない。 けれど、炎がほんの一瞬小さくしぼんだ。
「そっか…
……そっかぁ…」
自分があまりにも愚かで、
「ハハ…」
いつのまにか、泣き笑いのような表情(カオ)になっていた。
君は言った。 守ると言った、僕に対して。
「私は私いがいの誰かを信じないわ。」
それでもなお守ると言った僕に、君は言った。
「信じないわ。」
君はそう言って微笑んだ。
あの時から、君は知っていたんだね。 あの時から、君は分かっていたんだね。 あの時よりもずっと前から、君は選んでいたんだね。 あの時よりもずっと前から、君は決めていたんだね。
「私は私の生きたいように、生きるわ。」
もう随分と昔に、あの丘で君は言っていたよね。
「例えそれがどんな道でも、」
また、花咲く季節に訪れようと言って。 それっきり。
「私の選んだ道だから。」
いつでも君は、僕の隣で笑っていたから。 僕はいつでも叶うと、君との約束をいつのまにか忘れてしまった。
君はいつでも、いつまでもその約束を待ってくれていたのに。 君は僕を信じていてくれていたのに。 君は僕を守ってくれていたのに。 君の優しさに、僕は甘えていたんだ。
「ねぇ、貴方は?」
君は行ってしまった。 この世界の果ての、さらに向こう側に。
「貴方はどういう風に生きるのかしら?」
君は遠いところに行ってしまった。
ナナナ
|