lucky seventh
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2005年01月08日(土) 異端創世記

弱くてごめんね。













小さな子供の伸ばされた手。

縋るように、届くように、

小さな子供は手を伸ばす。




1人は銀の、1人は金の

輝く双月のような色の髪が揺れた。



「嫌です、母様」

金色の天使が泣きながら怒った。

「お願いです、母様」

銀色の堕天使が叫びながら縋った。


けれど、黒髪の悪魔は悲しそうに微笑むだけ。

「お前たちはまだ戻れる。」

金色の天使と銀色の堕天使を撫で、悪魔言はい聞かせるように言った。

「死なないで。
 生きておくれ、最後まで足掻いておくれよ。」

矛盾する自分の言葉に自嘲的に笑った。
手からすり抜けていく、愛おしい感触に名残惜し気に目を閉じる。

「私は悪魔。
 やがて、あの男は私を捕らえにくるだろう…。」

そして、悪魔は嘆く。

「私は弱い。
 誰かを守れるほど強くはない…この身1つで購えればいいが、
 この生命(イノチ)を与えることも分けることも私にはできない…」

酷い悪魔は言った。
この世で、酷く優しい悪魔は自分の不甲斐無さを、力不足を呪った。

「どうして?どうして僕らだけなのです?」

「どうして?どうして連れていってはくれないのです?」

それでも、子供達は言う。
この手を話したら2度と会えないような、そんな恐ろしい予感がしたから。


『生も死も、一緒と言ったじゃないですか!??』


この言葉が、悪魔をどれほど傷つける知っていても、
子供達はこの手がはずされないためになら、どんな言葉も紡ぐ。

「母様を困らせるな…」

小悪魔は言った。
小悪魔は、自分は悪魔と居られるから言えた。
それが例え、心通わせ同じ人を守ると誓った盟約者であっても。

「僕たちは違う生き物なんだ。」

傷つける言葉をはいても、その言葉の意図を理解できるとしっていても。

「あきらめろ」

その言葉は悪魔をここから少しでも早く引き剥がしたいがための言ノ葉。
それをさせないがために天使と堕天使も、悪魔を見る。

『母様』

縋るように、
届くように








弱くて、ごめん。
お前たちを守れるだけ強ければ…



大切な者を守るためには、どれほど力があっても足りないと言うことを
その時はまだ、悪魔は知らなかった。


ナナナ

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