lucky seventh
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第一話:霧の中で見た影
近付いてはならないと言われた。
好奇心は身を滅ぼすんだぞと楽しそうに言われた。
そう僕らに諭すふしぶしにそれは暗にあの人が行けと仄めかすような、 好奇心を刺激するような口ぶりに僕らなんて滅びてしまえばいいと 思う態度がありありと出ていて、 あの人の話しをドキドキしながら聞いていた。 僕らはあの人に嫌われていることに対して、少なからずショックをうけた。
「浅一(あそひと)」
茶色い髪の青年がその声にへらりと力なく笑った。 寝癖だか、パーマなんだか判別のつかない頭は今は土で薄汚れている。 あめ色の瞳にはどことなく疲労が伺える。
「よう蔵人(くろうど)の坊ちゃん」
皮肉気にそう言う浅一に、蔵人と呼ばれた青年は無表情に見やった。 漆黒の髪に同色の切れ長の目は、無関心だった。 けれど、やはり浅一同様に隠しきれない疲労が滲んでいる。
ナナナ
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