lucky seventh
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2005年03月22日(火) 楽園をめぐるもの

命が溢れて、
もう、戻らない。














「一緒に死にましょう。」

女は微笑んだ。
踊るように、舞うように、
その視線の先には何ものにも合うことなく。

「この世界と共に、終演を迎えましょう。」

女の存在はひどく、薄く。
色褪せたテープの中で、永遠に繰り返す世界を作る。

「この世界の永遠を一緒に夢見ましょう。」

夢見るように、
夢見たように、
女は幻のようにそこにあり続ける。


まわる、まわる、世界が回る。
ふわりとまわる、ふわりと揺れるスカートの裾、
ふわり花びらが、風とまわる。


楽園の花園の中で、女はいた。
それはまるで景色のように、一枚の絵のようにあった。
女はただ独り、そこで世界の真理を見た。
こぼれ落ちる命の赤い水に、手から溢れて落ちたそれに、女は人を見た。

女は自分が歯車の一部であったのを知っていた。
世界の真理を読み取ったその日から、
自分が此処から出られないことを知った。


命の砂が、落ちていく。






「アンシュ、クラジュ」

少女は笑った。
その先には、同じ顔の青年たちがいる。

「私は世界を渡るよ。
 この世界でに役目を終えてしまったから」

少女の身体が光の粒子となっていく。
青年たちはただなすすべもなく、
その少女の声を一言一句たりとも聞き逃さないぬように、
その少女が目を放した度に消えぬように、見ていた。

「私は自ら、この世界の意志に従った。」

少女は朗々と詠いあげるように言う。
透き通る身体の向こう側に、見えないはずの世界が見える。

「この世界の意志は2つ。
 異世界の少女の再来と、その少女の消失によって終わる物語り。」


それは定めと呼びに稚拙で、
語り継がれた伝承と呼ぶにはあまりにもお粗末な物語り。
光によって幾重に出来た影の物語り。
遠き昔に召喚された少女が、再び喚ばれ消えていく。

始まりも、終わりも少女のためだけにあった。


めぐる、めぐる、運命が巡る。
くるりとめぐる、くるりと流れる運命の輪、
くるりと輪が、運命とまわる。


運命の輪の中で、少女はいた。
定められた運命を導くも、壊すも少女次第。


ナナナ

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