lucky seventh
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2005年11月04日(金) |
かなしいぐらいに わたし でした。 |
かなしいぐらいに わたし でした。
血が飛び散った。 あたしの身体から硬質な刃が生え、 身にまとった着物を鮮血の華のように染めた。
あぁ、あたしは死ぬんだ。
もう、抵抗する力はなかった。 敵に刺された瞬間、 あたしの手の中から剣を落とさないようにするだけで精一杯で、 もう、反撃する力は残っていなかった。
よくやった 方かな?
最期まで、武士(もののふ)として死ねる。 この手に この剣がある限り。
あたし、頑張ったよ。
何ともいえないような倦怠感と、 志半ばで、途絶えた自分の不甲斐なさ そしてここまで立ち続けた自分への、満足感。 中途半端なあたしに、なんて相応しい最期なんだと思った。 思って、あたしは目をとじた。 永遠に眠るために。
だけど、最期の とどめの一太刀はやってこなかった。
目を開くと、そこには わたしがいた。 コンドルで適当に髪をまとめ、 楽しそうに 友人たちと談笑する わたしが、いた。
涙があふれた。
もう、思い出さなくなって久しい記憶。 懐かしくて、 そして、最期に思い出せて幸せだった記憶。
変わってしまったと、思った。 ここに着て、あたしは 変わってしまった思った。 己の赤に染まった手を見て、痛切した。 否、していたはずだった。
けれど、そこに移るわたしは かわらず、かなしいぐらいに あたし でした。
ナナナ
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