lucky seventh
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2005年11月18日(金) dia ダイア


私は 裁かれるのを待ってるのかもしれない。


そう言って、自分の手のひらを見て

彼の人は、そっと目を閉じ、呟くように言った。














◇dia ダイア◇◇












彼の人は日本からきた 特別科目の先生だった。





片につくかつかないかの黒髪に、奥二重の黒い瞳。
すっと背筋を伸ばして立つ姿は小さな花のようだった。
少し小柄だけれど、それでも背の高さは、
やっぱり子供の僕らにはまだまだ大きくて、
そう言うと、先生は穏やかに微笑みながら これからよ。と、
頭をなでながら言ってくれた。


その温かくて、小さな手に 僕らは惹かれていた。


学校では僕らは互いに負けないように、
常に互いの存在を強く意識させられた。
馴れ合うと、不思議な目や時折、非難の混ざった目を向けられた。
居心地ははっきりいってあまりよくなかった。
だから人の目から隠れるように、僕らは共に過ごしていた。
けれど、ある日それは唐突に見つかってしまった。
空き部屋だったその場所に、異国の人がいた。
目が合って、びっくりしていると、
先生は 僕らを微笑ましそうに見た。

こんにちわ。

ほんの少し低く、落ち着いたソプラノアルトの声。
それが先生と僕らの出会いだった。
僕らと先生はすぐに親しくなった。
先生は 他の人と違って、
仲の良い僕らを見ていても何も言ってこなかった。

切磋琢磨してるのね。

ある時、先生は僕らを見てそう評したことがあった。
僕らはその言葉で、一緒に居ることを認めてもらったような気がした。


先生の名は ダイアと言った。

こちらの言葉で書くと dia
宝石のダイアからも貰ったのよ。

そう教えてくれた。


dia NAを足すと月の女神と同じ名だったから、
僕らは先生のことを ディアと呼んだ。
ディア それは親愛なる者ということ。
本当は ディアナなんて名前はこじつけだったけど、
無駄にいい頭を回して、僕らだけの特別な呼び名で、
僕らだけが特別な先生の愛称が欲しかったから、
僕らはそんな意味をこめて、ディア。と、
先生の名を呼んだ。


そう呼ぶと、先生は少しくすぎったそうに 笑った。
僕らはその笑顔が大好きだった。


ディア
ディア


そう呼びながら、放課後は先生の部屋に行くのが日課になっていた。
先生の傍は心地よくて、安心できた。


ナナナ

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