lucky seventh
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白いワンピースをウェディングドレスに見立て、
手首から流れる血は、まるでバージンロードのように。
厳正なる祈りをささげ、瞳をとじる。
あぁ、神様!! 幸せに目覚める我が友らに、この日を刻み込ませて。
*徒花***
今頃、あの二人は新婚初夜を迎えているんだろう。 幸せそうに、式では笑っていた 私の友達。 今日は二人を引き合わせたキューピッド役として仲人をして、 今度はシイナが幸せになるんだよって、ブーケを貰った。 けれど、私は上手に笑えていただろうか?
本当は、ずっとずっと前から彼のことが好きだった。 けど、言葉さえかけることも出来ずに、 ただ見つめることしかできなかった。 手が届かなくてもよかった。 それはまだ、形にならない淡い想いででしかなかったから。 彼女と、私とが歩いていたあの日ふいに交わした言葉が、始まり。
それは終わりの始まりで、初まりの終わりだった。
彼女が彼に恋をしたと、私に言った。 私は、言えなかった。 私は、彼が好きだと言えなかった。 だって、何となくわかってしまったから、 きっと二人は上手くいくって。 昔から、当たって欲しくない勘だけはよく当たる。
それからとんとん拍子に二人は付き合い、 そして今日と言う日を迎えた。 ほらね、思っていた通り。 卒業してすぐに二人は結婚を決めた。
私の友達は美しかった。 白いドレスに身を包み、この世の祝福を一身に受けて微笑むその姿は まるで永遠のように思えた。 その笑顔の先には、彼がいるんだ。 これから二人は手を取り合って、生きていく。 そして、私は今までのように二人にはもう会えない。
二人の縁結びとしての役目ももう終わり。 私はいらない。
絵に描いたような幸せの光景の中に、私が入る余地はない。
神様の前で、永遠の愛を誓い キスを交わす。
おめでとう。って言うのはもういいよね。 私ね。もう、疲れちゃったんだ。 だからね、さよねらを言わせて。 幸せの真ん中にいると、不幸が際立って見えるでしょう。
ねぇ、愛しい友よ。恋した人よ。 幸せの中で目覚めたあなた達に、どうかささやかな不幸を。私の死で飾らせて。
白いワンピースをウェディングドレスに見立て、
手首から流れる血は、まるでバージンロードのように。
厳正なる祈りをささげ、瞳をとじる。
あぁ、神様!! 幸せに目覚める我が友らに、この日を刻み込ませて。
私はきっと、この日のために生きてきたから。
ナナナ
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