lucky seventh
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2006年06月07日(水) 阿修羅道

あのころ、僕らは善意よりも圧倒的な悪意を恐れた。
悪意の前に、善意は何よりも弱く、脆く、そして儚く
僕の心は簡単に耐えられなくなった。
善意は捻じ曲がって僕の心に映り、
悪意だけが真っ直ぐに僕の心に響いた。
だから、それがすべてだと思った。
悪意を恐れていたのに、僕にはそれだけが真実のように信じてしまった。
信じて、信じきれなくなってしまったくせに…

「あぁ、哀しいの?」

首を振った。

「あぁ、苦しいの?」

違うと、何度も。

「ただもう、哀しいだけ。」


言って、それからただ笑うだけ。
影を負って、泣く変わりに笑った。

笑えはしない。
もう、笑えはしない。
この笑顔だってもう、まやかしに過ぎない。
けれど、それ以外に何を浮かべればいいの?
愛したかった。
愛されたかった。
微笑んで、心から微笑み合いたかった。

でも…
もう、誰もいない。
たった一人で残された。
それ以外を捨て去った。

「鬼になろう。」

思いついたように笑う。
空っぽだけど、それでも生きようと決めたから。
それが自分にとっての一番の罰かもしれない。
それが自分にとっての一番の罰を見つけられるかもしれない。

己を信じず、
誰も信じず、
けれど、誰かのために
それを自分のために。
愛を知りもしないその口で愛を語り
愛を失った言葉を愛のために紡ぎ続けよう。
人でありながら、鬼となり。
鬼の心を人としての行いで覆い隠してしまおう。


あぁ、許されるならば死にたかった。
けれど、それはただの甘えで
僕はただ、まだ行き続けようと思うことでしか生きる術を知らなかった。

生きるために他の命を奪い
生きているから他の命を奪った。
それを否定しても、それを止めることが出来ず、
争うことでしか己が見えなかった自分は何と愚かだったのだろう…。


ナナナ

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