lucky seventh
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瞼をそっと 伏せた。
その動作はまるで帳をおとすように
密やかな仕草の中に夜をおとす。
もう、笑いかけてくれることはないんだろう。と、僕は笑った。
えぇ、そう決めてしまったから。と、彼女は口元だけ綻ばした。
そうてんヲ射抜ク アイ。
あの日、そう言った彼女に 別れ告げたあの人に
手を伸ばすことは出来なかった。
けして、叶わない願いではないと言うのに 何かに絡め捕られたように、その腕は持ち上がらなかった。
あの日、互いに手を伸ばせ届く距離にいた。 息が触れそうな、視線が交じり合う そんな世界にいたのに、その世界が終わろうとしていたのに 躊躇ってしまった。 そして、その一瞬が終わりなんだと計らずとも理解してしまったから、 もう、残された道は離別なんだと思ってしまった。
「愛してた」
その言葉に彼女は笑った。
「愛してました」
そう言って、笑って 別れを告げてしまった。
ためらいが終わりを告げた。 手を取り合うことができなかった二人に残された道、 もう二度と今生で交わることないと知った時、 終わってしまった。 最初で最後の愛は実ることなく、おちてゆく。
「愛ってなぁに」
笑う少女に男は笑った。
「無くても生きていられるけど、亡くしたら無くならないものかな」
あぁ、願わくば死する時に君を思い出したい。 幻影でいい、夢でいい、 思い出だけを持って、君だけを思って死ねたなら なんて贅沢で 愛されていると思って死ねるのだろうか? あの日、分かれた君はますます美しく 僕は思い出の君を愛す。 そうして抱き続けた、叶わぬ愛に 殉じて死ねれば それは人のエゴだと笑ってくれるかい? だけど、そうすれば僕は死すら恐れず 神はここにいたと 最後の最後までそう声高に言い続けよう。
君と別れてそれほどの月日さ年月が経ったのだろう? あぁ、コレが消えぬ思い? それとも僕があの頃のまま変わらないだけ? いや、変わらない人など存在しない 時が流れれば、流れるほど人の心も変わり行く。 それならきっと、僕はまだ君を愛し続けているんだ。 それが君か、あの頃の君か、思い出の中の君かは もう、僕には分からないけど…
手をそっと 伸ばした。
すると君は、綻ばすように
ゆっくりとその顔に花を咲かせ 僕に手を伸ばす
ナナナ
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