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自覚なきデブ - 2002年04月27日(土) 僕の上司、U部長はデブである。 身長は165センチ程度、体重は推定90キロくらい。 少なく見ても85は超えているだろう。 これって、立派な「デブ」だろ、皆さん。 でも彼は「デブ」という自覚がほとんどないように見える。 何せ、生まれてから50年余り、一度もダイエットをしたことがないそうだ。 つまり、彼の体重は、ずっと「単調増加」の一途をたどっているのである。 だが、本人の口からは「ぼくは固太りだから、いわゆるデブではない」という発言があったとか。 でも、やっぱりデブやん。 彼はうちの部のドアのカギを持っているため、朝いちばん乗りで出社しているのだが、彼にやや遅れて僕が出社すると、部のドアの手前にある、フロアの扉がいつも閉じられた状態になっている。 一日のはじまりには、最初に出社した人間がそのフロア扉を開けて、下部のストッパーを壁側にある止め具にひっかけるのが義務となっているのだが、彼はそれを絶対自分ではしない。 横着だからしないとか、タカビーだからしないというのではない。 彼は本来けっこう、マメで細かい作業も自分でやるタイプなのだ。 要するにストッパーを止め具にひっかけるために、「前屈」をすることが「出来ない」のである。デブだから。 うちの部はビルの3階にあるのだが、出社すると1階から平気でエレベータに乗って3階まで行く。 3階から、5階の担当役員の部屋に行くときも、エレベータを使っている。 さすがに3階から下へ降りるときには、階段を使っているが。 彼には腹心とでもいうべき部下がひとりいるが、その部下自身は異常なまでに体重の増加を恐れるタイプで、毎日体重計にのっては一喜一憂している。 少しでも体重が増えると、ランニングの距離をふやす、そういうタイプ。 そんな肥満に対する露骨なまでのアレルギーを持つ部下をもちながらも、部長自身はいたって楽観的なのである。 不思議と健康診断で「減量しないと危ない」といった類いの宣告を受けることがないのをいいことに、絶対減量に取り組もうとしない。 「しんどい」から。 自然体といえば聞こえはいいが、イージー・ゴーイングといったほうが正しそうである。 そのイージーさは、彼の伴侶の選び方にはっきりあらわれている。 彼は社内結婚、それも同じ部署でいちばん手近なところにいた後輩女性社員と結婚している。 その奥さんの評判はといえば、彼女を知る社員どのひとに聞いても、 「Uさんの奥さんは、ブス。性格もよくない」 という答えが返ってくる。 さもありぬべし。 そのくせ、部下・後輩がちょっとよさげな女性、綺麗な女性と結婚したのを知ると、 「なんであの程度のオトコにいい嫁さんがくるんだ」 みたいな悪口を平気でいうのである。 自分がロクな女性と結婚できなかったからといって、他人にケチつけるなよ。 努力のかけらもしないくせして。 自覚なきデブU氏は、デブであることをのぞけば、そうルックスが悪いわけではない。いや、わりと正統派のオトコマエとさえいえる。 も少しまともな女を得たっておかしくはなかった。 だが、イージーな人間には、身近な不器量な女性に手を出すくらいしか、発想はないのである。 デブに「なる」のは「体質」の問題もあり、いちがいに当人が「悪い」わけではない。 だが、デブで「ありつづける」のは、明らかに本人の「努力の欠如」以外のなにものでもない。 それを自覚しない限り、デブはデブ以外のなにものにも変わりえないのである。 ...
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