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異文化コミュニケーション - 2002年05月12日(日) 先日俳優の森本レオさんが、三十才以上年下の女性と同居生活していることについて釈明会見をしたときに使った(正しくは「異文化交流」だったかもしれないが)ということで、一躍流行語となりつつある(笑)この言葉、実は僕も先日、身をもって体験してきた。 その日、僕と同僚のG君は、東京のイースト・サイド(いいかえれば川向こう)で飲んだのだが、二軒目はどこへ行こうかと思案した末、当初の浅草という予定を変更して、より華やかな上野広小路の方へと進路を取ったのである。 あの界隈なら、若い女のコの大勢いるキャバクラの類いもあるだろう、ということで。 当然、広小路から湯島へと向かう道筋には、それこそお客の数より多いんじゃないの?といいたくなるくらい、「客引き」がたむろしていて、歩行もままならないくらいだった。 客引きは男性もいれば、女性、つまりそのお店につとめているホステスもいた。 それらをおおかたは「また今度ね」とかわしつつ、でもしっかりと物色しつつ、僕と同僚はすたすたと前へ進んで行く。 通りも半ばを過ぎたあたりで、ひとりのエキゾチックな顔立ちの、わりとすらっとした体つきの女性に声をかけられ、G君の足取りが少し遅くなった。 「ひとり一時間4千円で、飲んでいきません?」 彼女のややたどたどしい話しぶりから察するに、間違いなく、日本人ではないようであった。 見た目からはフィリピン人あたりではないかと思われたのだが、彼女は「うちはみな中国人、それも昼間は学生ね」という。 同僚は「学生なら、ちゃんと知的な会話が出来るんだろうな。もし違ったら、俺、暴れちゃうからな」などと、たわいもないヨタを飛ばしているが、なんだか、まんざらでもなさそう。 かくして、僕たちは小さな雑居ビルの4階にある、これまたこじんまりしたバーへ案内された。 店のキャパはボックス席、カウンター席を合わせてせいぜい15〜16人という程度。 内装はふつうのバー、スナックのたぐい。 ホステスは6人くらいだったかな。ハコが小さいわりには、結構いる。 先客のタイプはいろいろ。 あきらかに日本人でなく、女のコたちと「同郷」とおぼしき顔立ちの、ラフな格好をした肉体労働者風もいれば、ネクタイを締めた日本人サラリーマンもいる。 二、三人の組もいれば、ひとりで来ているのもいる。 で、そのうちに八割以上の席がうまるくらい、混んでくるようになった。 僕たちをキャッチしてきた子は「ナツミです」と名乗った。ここでは、ホステスはみな、日本風の名前を名乗っているということだ。 もうひとりついたコは、髪型がアップで、顔立ちもどこかちょっと年増っぽい雰囲気だった。 彼女は「カオリ」と名乗った。 「キミがママなの?」と聞いたが、そうではなく、ホステスのひとりに過ぎないという。 いわゆるママはおらず、カウンターの中にいて、いろいろとつまみをこしらえたり、勘定をしたりする、あまり愛想のよくない30才くらいの女性が、この店を仕切っているようだった。 彼女だけ、日本人かも知れないな、と思った。 女のコは、さっきナツミが言ったように、本当に日本に留学のためにやってきたコがほとんどのようだった。 昼間はきちんと学校に通っているというだけに、皆、結構、日本語がしゃべれる。 英語、ヘタするとそれもダメで母国語しかろくにしゃべれないような、ルーマニアやチェコ出身の女性がいるパブやバーとはえらい違いだ。 コトバの問題で感じるストレスが、全然違うのである。 あと、ルーマニアなどの東欧系の女性との大きな違いは、中国系の女性たちはあくまでも「大学に通って、知識を得る」ことが第一目的であり、学費・生活費等のためにこういったアルバイトをするようなのだが、東欧系の女性は「東京でひと稼ぎしたお金を、故国に持って帰る」ということが最大の目的のようなのである。 間違っても、日本人の男性と交際して、結婚できたらいいな、などと思ってはいない。 だから、真剣に日本語を覚えようとする女性は、まずいない。 貧乏国の出身とはいえやはり、白人としてのプライドがある彼女たち、けっして日本人の男性を、憧れの目で見ることはない。 たいていの場合、お国に恋人がいるということもあるが。 が、中国系の彼女たちは、わが国の文化水準の高さに憧れて来日したのと同様、わが国の男性にもそれなりの興味はある。 一応目標は、日本で学問をおさめて帰国、故国でエリートとして活躍するということにあるにせよ、日本男性に見そめられて結婚、この国で生活を続けるということにも、同じ東アジアの隣国ということも手伝って、さほど抵抗はないようである。 途中で僕のとなりのホステスが、カオリから、黒いロングのチャイナドレスを着た、ユリという、23、4才くらいの女の子に変わった。 彼女は僕の顔を一目見るなり、「お客さん、前に会ったことあるぅ〜」とか言い出す。 もちろん、そんな記憶は僕にはない。 「え〜、どこで? この店? ここ来たの初めてだよ〜」 というが、「絶対、ある」とか言うのである。 これは彼女たちが客に取り入るための「常套手段」なのか? それとも、僕みたいな顔の客が、この界隈には多いのか? はたまた、僕は本当に以前酔っ払って、この店にやってきたことがあるのか。 よーわからん。 それはいいとして、このユリという子、結構僕になつくのである。 かなり丸顔で、美人というよりは可愛い系。 女優の内山理名を、うんと色白にして、うんと丸っこくした感じだ。 彼女は首都圏にある、福祉系の某私立大に昼間は通っているとか。 「片道二時間もかかるの」 みたいなことを言う。 で、そのうち、 「わたし、あなたみたいなお客さん、好き」 みたいなことを言い出す。 「でも、誰にでもそんなこといわない。好きなひとでないと」 とも。 まあ、人間、相手が誰であれ、なつかれて悪い気はしない。 僕はいわゆる「さわり魔」ではないつもりだが。肩に手をまわすくらいのスキンシップは自然とするようになった。 話を聞くに、彼女はひととおり、日本語がしゃべれるようだが、それでも、日本人とじかに深いコミュニケーションをすることは、少しコワイとも言う。 やはり、異邦人ゆえの孤独感か。 「だから、PCに向かっているのが好き。チャットとか結構やるよ」 なんて、意外な話も聞くことができた。 そのうち同僚のG君は、僕らがよろしくやっているように見たのか、「先に帰るね」と消えていった。 それから、一時間弱、彼女としゃべったり、あまり歌いたい気分ではなかったが、カラオケで一曲歌わされたりして過ごした。 「ダンスしない?」と言われたが、それだけは最後まで受けなかったのだが。 さて、最後に携帯のメールアドレス入りの名刺をもらい、店を後にした。 「店出たら、すぐに捨てるなんてしないでね」 なんて、言われて。 で、本日の感想。 日本の女性と比較すると、中国人の彼女たちは自分をずっとストレートに表現しているし、サービス精神も旺盛のように思う。 ユリが僕に対して「お客さん、好き」なんて言ったのは、まあ、酒場でのお客に対する、お約束のリップサービスだといえなくもない。 が、日本のパブやスナックやキャバクラ等にいる、日本人のホステスは、そういうサービスすらしない。 もしそういうことを言って、さほど好きでもない男性からストーキングされたらイヤだから、ということかも知れないが、じゃあ本当に好きな相手には言葉にしてはっきり言うかというと、そうでもないように思う。 日本女性の多くは、恋愛でことを自分に有利に運ぶために、本当は好きであっても、それをストレートにいわないという習慣が、しっかりと身についてしまったのではないだろうか。 さらに言えば、男性のほうもまたしかり。 日本人の恋愛が、いまだに「君の名は」みたいな、まだるっこしい腹の探り合いみたいな恋愛になりがちなのはそのためであろう。 これはいいことなのかどうか。 相手に「好き」といわせておいて、自分の意思表示は出来るだけ保留するなんて、姑息なやりかたのような気がしてならない。 そういう意味で、日本人は、まだまだ大人の恋愛が出来ない、いびつなメンタリティの持ち主が多いのではないかと思う。 この問題の根っこは、やはり、教育にあるんだろうな。 やはり、根は深いようだ。 ...
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