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セルジュとアルバのように Comme Serge et Alba (2) - 2003年05月12日(月) 街中で、二十代とおぼしき女性と中高年の男性が、腕でも組んで歩いているとしたら、十中八九、 「バー、クラブ、ラウンジ、キャバクラなどの水商売の女性と、そのお客」 だと思われる。 そのくらい、日本ではオジサン族とお水女性のかかわりは深い(笑)。 オジサンが、交際相手になってくれそうな若い女性を物色しに行くとすれば、まず間違いなく、そういう類いの店だろう。 これはもちろん、若い女性がマンツーマンで接客するような酒場が一般的ではない、アメリカあたりではまず考えられないことではある。 彼らが何故そういう酒場へ行くかというと、答えは明快。 「会社の女性社員に言い寄るのは、リスキー過ぎるから」 これである。 オジサン達は、たいていの場合、会社などの組織で、責任の重い「管理職」についている。 ホンネとしては、身近にいる若い女性社員をうまく口説き落として、付き合うことが出来ればいいのだろうが、向うが「イヤ」と拒むことも少なくない上に、下手すると言い寄った事実をバラされたり、さらには「セクハラ」ということで訴えられたりして、管理職失格だの家庭崩壊だのになったりする危険性が高いってことだ。 それに、プライド、メンツの問題もある。 お水の女性を口説いてふられても、「相手が海千山千のやり手だったから」という言い訳をすることが出来るだろうが、素人の女性の場合はそうはいくまい。 露骨に「オトコとしての魅力がなかった」という「烙印」をおされることになってしまう。 お水の女性相手なら、口説いて失敗しても一種の「シャレ」として済ませることが出来て、男性本人も決定的なダメージを受けずに済む。 素人の女性は、二重三重にリスキーだから、相当覚悟を決めて臨まないといけない。 こういう、欧米の不倫姦通文化とはまた違った日本の「プロ系お遊び文化」は、言ってみれば江戸時代の「遊郭文化」の流れの延長線上にある。 どこまで本気(マジ)で、どこまでお遊び、演技か、本人たちにもよくわからないくらい、虚実皮膜の世界。 追えば逃げ、逃げれば追う。虚虚実実の駆け引きの世界。 その「結末」として、おたがい本気になって心中したり、最初の結婚相手と離婚して、結婚してしまうなんてケースもないではないが、おおむね、「別れ」が待っている。 しかも、男性側から女性になしがしかの「手切れ金」を渡す、というかたちで終わることが多い。 この、「最後は結局お金でケリがつく」というのも、他国の文化との大きな違いだ。 つまり、どういうことかというと、「お金」という物質を介在させることによって、 「これは遊びですよ、ゲームですよ」 ということを、おたがい暗黙のうちに了解しているのである。 男性は、ちらりと札束を見せ(実際にそういうしぐさをしているわけではない。あくまでも喩えだよ)、 「若いお嬢さん、これがいりませんか?」 といいたげなそぶりをする。 女性もまたそれにこたえて、 「まあ、素敵。それを私にくださるの。少しお付き合いしちゃおうかな」 というような態度を見せる、という仕組みだ。 これって、表向きは 「自由恋愛」 なんだけど、本質的には 「カネの取引」 そういうことだよね。 なんか、こういうのって、カッコ悪いって感じがしない? いかにも、「素(す)」の自分に自信がないから、カネとか、カネをいっぱい稼げるような地位とかいった「持ち物」で勝負をしているってことでしょ。 それって、相当情けないと思うよ。 日本では、政治家や高級官僚あたりに、まだまだこういう考え方から抜けられないひとが多い。 昔、女性スキャンダルで退陣に追い込まれたU首相とか、いま、週刊誌をにぎわせている、自民党の大物、Y氏とかね。 カネをばらまかなくても、女性が自然と寄ってくるような中年・壮年男性って、この国にはいないんだろうか? 次回はそのあたり、ちょっと考えてみたい。 ...
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