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「物書きに捧ぐ質問攻めバトン」後編です。 11.物書き中、これだけははずせないということやものはありますか? 9Hの鉛筆を六本と、B4サイズのルーズリーフを一束。鉛筆は削り立てより心持先の丸くなったものが良いです。ルーズリーフは表面しか使わないのが昔からの癖です。 ……嘘です(しかもつまらない)。 手書きでは漢字変換能力が追いつかず、もどかしいばかりで執筆どころではない、というのが切ない現実。 「執筆の友」は特に求めません。執筆用ファイルはワードパッドがお気に入りです。景気付けに音楽をかけることもありますが、必需品ではありません。飲み物ぐらいは確保したいところですが、零すので(断定)PC周辺には怖くて置けないのです。 あ、回転椅子は重要かもしれません。行き詰った時には眉間に皺を寄せつつぐるぐる高速回転します。すると、ほんの少し頭がすっきりします。目は回りますが。 12.この人の影響を受けた、という物書きは居ますか? 江國香織、村上春樹の両氏……と、かつては答えていたのですが、濫読の恩恵か副作用か、最近はよく分からなくなってきました。読書密度の濃さでいえば、高校時代にどっぷり漬かっていたこのお二人に敵う存在はないので、今もどっしり根を下ろしているはずだと思います。 長野まゆみ作品も忘れるわけにはいかないのですが、これは「影響」というよりも「呪縛」に近いために別カテゴリーです。最も、無理に色を殺さずとも良いと開き直った頃からはずいぶんと楽になりましたが。 「影響」を「刺激」に置き換えるならば、小説に限らずありとあらゆるものから享受しています。創作脳を通して見る世界は美しいです(綺麗にまとめようとしてみる)。 ……と、ここまで書いて、はたと思い至ったのですが、比喩表現に凝りたい性質なのは、間違いなく村上さんの影響ですね。 13.こんな文を書きたい、という理想はありますか? 出来得る限り装飾を省く、というのが基本姿勢だったのですが、最近どうやら揺り戻しが来ているようで、やはりある程度の華やかさは必要である、と思うようになりました。新生テーマは「ドラマチック」です。しかし、飾り立て過ぎてくどくなるのではなく、何度読み返しても飽きない、色褪せない文章、というのが理想であります。 かつて、これは完璧だ、と感動したある作家の方の文章は、細部まで神経が行き届き隙なく端正でした。あの境地を目指すのはおこがましいにしても、せめて近付く努力はしたい、と思います。 そのためには、ひたすら読み直してひたすら手を加えて、という作業を延々と積み重ねなくてはいけませんが、そんな風に散々苦労した跡は決して見せず、涼しい顔の文章に仕上げることができたら格好良いですね。巧いメイクというのは、化粧すればするほど素顔に近づいていくものだと聞きますし、文章でそんな業師を目指したいと……色々大言壮語いたしましたが、ほら、理想は高い方が良いですから、ね? 14.一番最初に書いた作品、さらせますか? 残念ながらもう手元に残っていないので、お見せすることはできません。もし現存していたとしたら、案外と微笑ましい気分でご披露できたかもしれません。時効ですから。 ちなみに、ブラックホールだの宇宙パトロールだのの出てくるSFだったと記憶しています。 15.次回作の構想はもうありますか? ひとまずは、しりとりショートショートの次作・次々作までを仕上げたいというのが希望です。 次作のお題は「あんたがたどこさ」。宿屋を営む初老の主が客人に語って聞かせる幼き日に遭遇した神隠しの物語。「隠れ坊の木」という怪談めいた噂話の背景に潜むものは……? 次々作のお題は、「茶房」が良いか「さようなら」が良いかで思案中です。「茶房」の方は、甘味処の店先で猫を拾い、善哉をひっくり返す話。「りんごあめ」の続編のような扱いです。「さようなら」は、緑色のランドセルに人生の不幸を想う少女と、彼女の風変わりな理解者の物語。 いつ登場できるかは分かりませんが、世界の滅亡はアラジンの魔法のランプによってもたらされた、という話や、ハンドルを握ると性格が変わる(注:愛車は自転車)母を見守る娘の物語、なども控えています。 その他には、捧げ物になる予定の話がいくつか、長らく温め続けている女性科学者とロボットのラブストーリーや、巨大かたつむりの殻で出来た図書館に住まう守り人の物語、等々。 ここぞとばかりに語ってみました。 構想だけならば豊富なのが、私の取り柄です。 16.創作派? 二次創作派? 二次創作のなんたるか、をそもそもあまり知らなかった……というわけで、付け焼刃で聞き齧ってきました。ええと(資料に目を通しつつ)……ふむ、こんなにも広大な世界が、私の触れてこなかった場所で広がっていたのですね……! おお……!(驚きと感嘆の溜息) で、結論は? 私は創作派、のようです。 17.(16について)何故そっちなのですか? 元となる作品の完成された世界・キャラクターの性格、等々を活かしつつ、なおかつ己の想像力を加味して新しいものを創る、というのは、私にとってとても難しいことのように思えてしまいます。もっと言えば、それを制約と感じてしまう私は二次創作には向かないということなのでしょうね。ただ単に我儘で不器用なのかもしれません。……恐らく、こっちが正しいですね(納得)。 全て自分の思うが儘に遊ぶことのできる創作の方が、私にはやりやすいのです。 18.盗作についてどう思いますか? 一言で言うならば「何故?」でしょうか。 無論、理由があれば許される、とは思いません。 好意を持っている作品だったのであれば、その思いを現す術は他にいくらでもあったでしょう。 自作に対する賛美が欲しかったのであれば、よしんば得られたとしても所詮は借り物の喜びです。 創作に生みの苦しみは付き物です。作品はその苦しみが結実したものであるということを、尊重していただきたい、と思います。 19.これからも物書きであり続けますか? もう何も書けないや、と思うその瞬間までは、物書きで居続けるだろう、と思います。 できることならば、創作の泉が枯れるその時をできるだけ先延ばしにして下さい、と創作の神様にお願いしつつ。 20.物書き5人に回してください 私が突撃インタビューを試みたい方たちのところには大方回っているようなので、 このまま大人しくマイクを置きます。 ![]() ![]() ![]() ![]() |