日記帳




2008年07月16日(水) 美術館二都物語

土曜日は、大阪・京都ニ都美術館巡り、に行ってきました。
まずは、天保山にあるサントリーミュージアムへ。お隣に建つ海遊館は(今回は素通りですが)、相変わらずの賑わいっぷり。そういえば学生の頃以来だなあと、少し懐かしく思い出します。
こちらで開催されているのは、ガレの展覧会。ギャラリーを見に行く前に、まずは腹ごしらえです。隣接のカフェで「トマトとルッコラの冷たいフォー」をいただきました。酸味が強めのトマトスープが、暑さに負けそうな胃袋に「ぎゅっ」と沁みます。

昼食が済んだら、いざギャラリーへ。私のイメージしていたガレ(色硝子を何枚も重ね、上から削っていくことで綺麗な色絵を生み出す)とはずいぶん異なった作品が多くて、最初は戸惑いました。でも、蜻蛉モチーフの作品がずらりと並んだ展示室を見て回っている内に、ああやっぱりガレだ、と腑に落ちたのでした。

そして思ったのは、美と醜、エレガントとグロテスクの境目はどこにあるのだろう、案外と紙一重のところで際どいバランスを保っている要素なのだろうか、ということ。例えば、美しく咲き乱れる花だけでなく、その花に群がる虫たち、その影で今しも生命を終えようとする萎れた花、にまで目をそらさず視線を据えること、そこから生まれる「美」はきっと、ただ綺麗なだけの薄っぺらい「美」ではなく、もっと厚みと迫力を持った「美」に昇華するのだろうか……などと、結論の出ない考え事を、頭の中でつらつらと転がしていたのでした。

天気予報によれば、7月12日の関西地方は今年一番の暑さを記録したそう。大阪の暑さが乾性のそれなら、京都は湿性だという気がしたのですが、これ如何に……などと問いかけずとも、とにかく「暑かった!」の一言です。

京都での目的地は、相国寺内にある承天閣美術館。西陣織で創られた源氏物語絵巻の展覧会です。こちらは、以前に新聞記事で見かけて以来、どうしても行きたい、是が非でも行かねば、と思い決めていたので、ようやく念願叶って感慨もひとしお、でした。

ぱっと見では紙に絵の具で描かれた巻物のよう、でもじっくり目を近づけて観察すれば、「わあ本当に織ってある!」と静かな館内で思わず声を上げてしまった私でした。なんといっても色の鮮やかさ、薄衣のそよぐ様や、女性の長い黒髪が一筋流れ落ちる様までが表現された緻密さに目を瞠ります。
なによりも、この絵巻の作成に取り組んだご兄弟が、そろって百歳超のご長寿であるということに、感嘆の思いしきりであります。
スタッフの方に西陣織の制作過程について丁寧な説明をしていただいたのですが、哀しい哉、私には織物の知識が全くといっていいほど欠如しているので、きっと半分も理解できていなかったかと……。

展示ケースのガラスには、よく見ると人の指先や、きっと鼻の頭をぶっつけたらしき痕跡がいくつも残っていて、でもその気持ちは良く分かる、できるだけ近くで見たいもの、できることなら手触りだって確かめてみたいもの、と思ったのでした。

外に出ると相変わらずの夏日、休憩のために近くで見つけておいたフルーツパーラーへ。そういえば、学生の頃に一度、先輩に連れてきてもらったことがありましたっけ。その時と同じ(確か)、フルーツパフェをいただいて、美術館巡りの一日も終了です。
この後京都駅まで戻り、デパートでバーゲン気分を少々味わって、帰途についたのでした。

なんだかんだで、今月までに行きたいと思っていた特別展は、ほぼコンプリートすることができました。さあ、次はどこへ行こう? とリサーチ開始です。





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