それでも、例えば偶然にどこかで出会えるような奇跡が起こったとするならば、それだけで私の心は充たされてしまうのだろうし、貴方が一言でも声を聞かせてくれたならば、そのささやかな一瞬が私の原動力になるのだろう。 貴方の心がこちらを向いていないことなど、初めから充分すぎるほどわかっている。 それでも尚、と一途な視線を逸らせずにいる自分がいる。 そうだ、恋とはこういうものだったのだ。 *** ……というようなことを、通りすがりのつれない美人猫さん相手に切なく呟いたのでした、などというオチでは、きっと誰も納得しないのだろうなあ。 |