| 『激情』 |
あーもー何て言うか、どうしたらいいのか。
表現と創造と限界について、ひどく考えさせられる作品でした。
何と言うか、感想が言えないんですよ………何だありゃ……というのが一番正直なところ。
マサオと関根の怒る理由が分らなくて(ていうかマサオが何言ってんだか聞き取れない)(どうやらわざと(演出として)だったらしいですね)原作の設定をサイトで観てきてようやく納得しましたが、演出家さんの日記を見るに、それ以外の解釈もアリという事のようですね。 (原作では、杉山は部落出身者で、その嫌悪すべき血が輸血された(杉山は事故にあったマサオに自分の血を輸血してる訳です)という事実にマサオがキレた、という事らしいです。未だに根強く、部落差別が残っている地域ならではというか、被差別というのもテーマの一貫という事なのか…) つまり、何故こうなったかではなく、何故こんな事になったかという……1話からのすべてがラストに集結してるという事なのかな。
まあ個人的には、杉山はあの村を出た方がいいんじゃないかな……と思った。普通に。でもあの村でないと杉山も生きていけない人なのだろうか。何かそんな気もした。
しかし原作は確かに問題があり過ぎて、嫌悪感を抱いてしまう人もいそうですね。TVでもさらっと流してましたが、身体障害者差別とかもあるし…。ホントさらっと流してたけど。 そして、菅原が最終的に借金を返済した方法というのは、…まあ…売春ですよね…そこに同性愛差別もありつつ…(しかし舞台ではそのシーンをホントにやったらしいですよ。あ〜…ホント申し訳ないのですが、TVでゴウ様がやったら少なからずショックでしたので、飛ばしてくれて精神安定の意味では良かった)(個人的意見ですみません)。その時に菅原は『誠意』っていう言葉を使うんですけど、これ何と『北の国から』のパクリだそうです。まあ…この作品の説明が「ポツドール版・北の国から」だったからな…そう考えると、岩田が菅原に渡した南瓜とか、あれも北の国からのパクリなんだと気づくわけです。ま、これポツドールの公式サイトに全部書いてあったわけですが。 差別と裏切りが交差していて、何のメッセージ性もなく、ただただ状態だけを流している。すごい戦法だ。セミドキュメンタリーを得意とする劇団らしいので、そういうのもありなのかなと思う。 テーマとしては、非日常ではないんでしょうけど、こう、人が日常生活で目を背けておきたい事を、これでもかというくらいに見せつけているような……。 見終わった後、後味悪いのは確かです。何だ、神経に触れる音(黒板をツメで引っ掻いてる音とか)を長時間聞かされてた様な感じ。
まあファンの目で見たら、ゴウ様がこんな作品に出て、こんなふうに演じているという事に、満足しています。
『トキワ荘の青春』という映画を、ふと思い出した。 漫画家のつげ義春に、友人の編集者が、つげ作品を評してこう言うんですよ。 「僕は、つげくんの作品はとても、とても好きだけれど、こんな……こんなふうに、自分の傷口を人に見せつけるような、こんなのは、……いいのかな」
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2004年11月10日(水)
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