いま、列車に中に一人座っている。何度も繰り返した出張から帰るいつもの道のり。夜の街々をいくつも通りすぎて行く。そんな孤独な旅ごとに思う、あなたと一緒だったらいいのに、と。もし、いま、この間にもあなたが隣にいてくれたなら。あのときのように、お互いに手を固く結びながら、この長い時間を分け合えただろうに。あの短かった、旅とも言えないような時間。でも、わたしには、とても大きな旅だった、あの時間。あの幸せは、忘れない。