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2003年04月28日(月) 最後のキャッチボール



あたしはこうも変わってしまった。

あの子に彼女がいることは、なんとなく受け入れられた。
なんかずっとそんな気はしていたし。
現実を知ることは不快じゃない。
例えどんなに辛い事でもあたしはあの子の全ての事実を
この頭の中に残しておきたいから。
あの子は生きている。
あの子は生きたいって力でみなぎってた。
あの子はいつも前を向く事しか知らなかった。
勝手な行動も命令口調も自己中なところも
全部があの子によく似合う。
あの子はいつだってまわりを笑顔にさせた。
みんながあの子を愛していた。
あたしは其の人達の笑顔を見るたびに
“この人を愛していて良かった”って誇りを持っていた。
あの子はあたしが正反対の人間だと知っていたんだ。
だから一生懸命にあの子の方へと引き摺ろうとしていたんだね
自分の方へ引き込もうとしてくれてたんだよね?

そういう勝手な考えも真直ぐなトコも
全部が好きすぎて
あたしはまわりが見えていなかった
ずっと狭い世界で生きてきた
空はこんなに広くて、青くて
世界には沢山の人がいて。
そういうのにあたしは全く気づいていなかった
興味を持ってなかった

とてもとてもあたしのことを考えてくれた人

キャッチボールはもう出来なくていい
野球なんて教えてくれなくて良い
遠くに連れて行ってくれなくて良い
遊んでくれなくて良い
喋ってくれなくて良い

あたしはあなたが生きてるだけで

笑ってるだけで

それを1番に感じられるだけで

それだけで、幸せだから





いつかキャッチボールが出来るなら

せめてその日は晴れがいい

夕日を背にしてキャッチボールを始めよう

あんたのボールの振動を感じながら

あたしはきっと泣くんだろう




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