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2003年08月29日(金) そのために今、存在している。



卒業式はアルマゲドンみたいだと思った。
審判の日。

あたしはいつも以上に服装と髪型に気を使う。
卒業式の言葉も歌も間違えないように思い返す。
いつもと同じように玄関のドアを開ける。
学校にはいつものクラスメート。
先生。
後輩。

先生も後輩も、「また学校に遊びに来い」と言うんだろう。
けれど、卒業式が終われば、学校はあたしの場所じゃなくなる。
いつも使ってたロッカーも、落書きだらけの机も椅子も、
馴染んだ教室も、生徒会室も。
全部、後輩たちに明渡して、卒業式が終われば彼らの場所になる。
あたしの存在していた証しは、別の人間の存在する証しになる。
あたしの場所は無くなる。

卒業証書なんて薄っぺらな紙で、あたしの3年間を纏めないで。

追い出して、追い出されていく、学校生活。
ざけんじゃねぇぞって歯食い縛って過す今は「過去」になる。
新しい場所に進んでいく。
新しい制服や学校生活を受け入れる。
そうしてまた3年過ぎれば追い出される。
あたしの過去はそんなに簡単な物じゃないのに。
いとも簡単に周りは変化する。

この学校の誰がこれからもあたしの存在を覚えていてくれるだろう。
卒業式なんかこなくていい。
あと1年も残っていない。

けれど未来を拒否したって明日は来る。
環境の変化は結局仕方の無い事ってあきらめるしかないのか。

愛すべき人が此処にいなくても。
あたしが今日息を止めても。
明日は始まるし、その次には明後日がある。
結局、明日に向かって生きるしかない。
そのために今、存在している。




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