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年明け早々2次創作。 | 2005年01月03日(月) |
※「Generation of Chaos 3」のストーリーモード激しくネタバレにつき要注意。 * ――あなたと一緒にいられれば。 * 助けて頂いてありがとうございました、と。 震える唇が紡ぐ言葉は思っていたよりも滑らかに。 目の前で花束を受け取る青年が、目元を和らげて微笑む。 少しだけ疲れたようにも見える柔らかな微笑に、一瞬頬が強張った。 (……すこし、あのひとににている……?) 彼もこんな風に笑うことがあった。 それは任務を終えて帰還を果たしたときであったり、長い会議を終えたときであったりとさまざまだったけれど、時間とともに影の濃くなっていくそれは彼女の心を締め付けた。 争うことに疲弊していく彼を助けたくて、傍にいたくて、でもそれは許されなくて。 あのとき、彼の説得に従わず、無理にでも付き添っていたら。 一緒に死ねただろうか、それとも。 冷えていく心の内に過ぎるのは今となっては詮無いことばかり。 「……ラディアに殺されていった者たちの恨み、」 ――違う。 (それは、私の) 戦争が生み出す犠牲もそれから発生する復讐の連鎖もその無意味さも、彼女にはもうどうでも良いこと。 彼が、眼前に立つ王によって殺されたというその事実だけが、彼女の動機。 生きる意味は既に失われ、今ここにこうして立っているのは自分の満足のため。 心に深く穿たれた喪失の穴は何をしたところで埋まりはしないけれど。 (せめて彼の望みのひとつくらいは) 叶えていきたい。 驚いた顔で彼女を見つめる青年の身体に深く短剣を突き刺し、その感触に彼の死を確信する。 そして次の瞬間には、男の傍近くに仕える女性が抜いた剣が白く閃いて彼女を斬り伏せた。 けれど覚えた痛みがもたらしたものは恐怖ではなく安堵。 失われていく血の温もりの代わりに得たものは充足。 彼の死が価値と意味を持つことの証左を抱えて、彼女は満足げな微笑を浮かべた。 ――あなたと一緒にいられれば、それで幸せ。 そう言うと、照れたように困ったような苦笑を浮かべる彼の表情がとても好きで。 (ずっといっしょにいたかったの) 鮮やかに思い返される記憶の中で、彼女は静かに瞳を閉じた。 ****** ストーリーモード某場面自己流解釈もとい妄想(話は聞きましたが実際には見てないという)(それで書くかこれを……)。 台詞と展開は確認しましたがその他すべて捏造120%です。信用してはいけません。 戦争や復讐の是非は己の中でも判断が難しい問題なのでお茶を濁しつつ(……)。 それにしても屋台に版権モノを放り込んだのは久しぶりだなぁ。 |