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No-Mark Stall *




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夜の密会。 | 2005年02月19日(土)
離れたら互いに生きていけないとしっている。
共依存の結果生まれた、美しく歪んだ魂の行方。

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「ね、コーニー。お願いだから私の邪魔をしないでね」
目の前の佳人はそう言って無邪気そうに微笑んだ。
けれどコーネリアはその正体を知っている。

――あのひとがいなければわたしはわたしでいられない。


魂が共鳴するような、鋭くもまろやかに痛む心に、彼女はひとつ溜息をついた。
「イー。何をしたいの、あなたは」
宵闇に瞬く星よりも白く、きらきらと輝く蒼の双眸が細められた。
「都に囚われた『巫女姫』のことを知ってる?」
コーネリアは驚きに素直に目を瞠った。
「初耳だわ」
正直な反応に、イーは呆れたと言わんばかりに肩を竦めた。
「あなたはずっと田舎にいたからさ、それもしょうがない気がするけど。でもさァ、もう少し情報とか噂ってものに聡くなってよ」
「ごめんなさい」
「謝らなくていいよ。どっちにしろ馬鹿どもが箝口令しいただろうし。何も出来ない――いや、しようともしないくせに、そういうことだけは早いんだから厭になると思わない?」
それで結局、と彼女はイーの愚痴を遮って話を戻した。
「彼女を取り戻したいの?」
「それだけで済ませるはずがないと、あなたなら分かるよね」
凶暴な微笑に、コーネリアは嫌な予感を覚えて顔をしかめた。イーがこういう顔をしたとき、ろくなことが起こったためしがない。
「……何をする気なの」
「決まってるでしょうそんなもの」
冷たい空気に僅かに息が白んだ。

ふたりの声が熱を持ち、奇妙に重なって夜空に響く。

「――復讐」

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物騒なひとたち。
written by MitukiHome
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