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夜の密会。 | 2005年02月19日(土) |
離れたら互いに生きていけないとしっている。 共依存の結果生まれた、美しく歪んだ魂の行方。 * 「ね、コーニー。お願いだから私の邪魔をしないでね」 目の前の佳人はそう言って無邪気そうに微笑んだ。 けれどコーネリアはその正体を知っている。 ――あのひとがいなければわたしはわたしでいられない。 魂が共鳴するような、鋭くもまろやかに痛む心に、彼女はひとつ溜息をついた。 「イー。何をしたいの、あなたは」 宵闇に瞬く星よりも白く、きらきらと輝く蒼の双眸が細められた。 「都に囚われた『巫女姫』のことを知ってる?」 コーネリアは驚きに素直に目を瞠った。 「初耳だわ」 正直な反応に、イーは呆れたと言わんばかりに肩を竦めた。 「あなたはずっと田舎にいたからさ、それもしょうがない気がするけど。でもさァ、もう少し情報とか噂ってものに聡くなってよ」 「ごめんなさい」 「謝らなくていいよ。どっちにしろ馬鹿どもが箝口令しいただろうし。何も出来ない――いや、しようともしないくせに、そういうことだけは早いんだから厭になると思わない?」 それで結局、と彼女はイーの愚痴を遮って話を戻した。 「彼女を取り戻したいの?」 「それだけで済ませるはずがないと、あなたなら分かるよね」 凶暴な微笑に、コーネリアは嫌な予感を覚えて顔をしかめた。イーがこういう顔をしたとき、ろくなことが起こったためしがない。 「……何をする気なの」 「決まってるでしょうそんなもの」 冷たい空気に僅かに息が白んだ。 ふたりの声が熱を持ち、奇妙に重なって夜空に響く。 「――復讐」 ****** 物騒なひとたち。 |