ゼロの視点
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今晩は、在仏某県人会の幹部だけの集いに呼ばれている。私はまったくの新入りなのだが、なぜかありがたいことに声をかけていただけた。
とある日本料理店の個室に集うメンバー6人。実に様々な個性が集合していた。画家、哲学者、剣道の達人、仏人と結婚して現在は子育てと仕事に励むキラリとした女性、駐在員、そして私だった。
私の向かいに座っていた駐在員のO氏が
駐在員「ゼロさんは在仏何年ですか」と訪ねてきたので、 私「まだ4年半なんです」と答える。 駐在員「まだ4年半なんて、じゅうぶん長いですよ」 私「へ?!?!。といことはOさんは?。」 駐在員「私は2年半です」 私「そうなんですか。つい他のメンバーの方が在仏歴が長いのにつられて、ついつい“まだ”4年半などという答え方をしてしまいましたよ(笑)」
などと会話をしていたら、私の左隣に座っていたフランス剣道会の重鎮Kさんが「30年なんてあっという間ですよ」とボソっと言う。Kさんは在仏歴32年だ!!。そして、
「10年目に入ってしまえば、あとは20年、30年とそんなにかわらなくなりますよ」と実に淡々と言う。
私と駐在員O氏だけがこのメンバーの中で在仏5年未満で、あとの人は10年以上、そして極めつけはこのKさんの32年というわけだ。
10年も経ってしまえば変わらない・・・・か。そうなると30年以上あっという間にフランスで暮らしてしまえるのだろうか、私も?!?!。今35歳なので、それにふと32年を足してみる。
ゲッ、32年後、私は67歳ではないかっ!!。32年から、私の在仏歴4年半を差し引いても62,5歳。とうに私は還暦を越えている計算になる。こんなことを考えてたら、少しだけアタマがクラクラしてきた。
フランスで還暦・・・・。そんなことがあるんだろうか?。なかなか想像できないというより、あまり想像したくないっ、というのが本音かもしれない。
しかし本日のメンバーの方々は、実にそれぞれの人生を充実して過ごしてきているかというのが、顔を見て一目でわかる人ばかりだった。こういった不に気は勇気づけられる。スノッブでもなく、また自分史をダラダラ語るでもなく(要するに説教)、いつも何かに挑戦している人たち。とにかくネガティブじゃないのが、気持ちいい。
途中、鍵を持たずに出勤してしまった夫が、この会合に現れた。鍵を取りに来たのだ。現れてからすぐ帰るわけにもいかず、少し席につき、残りものをつついていた夫。
しかし、今回ばかりはさすがの夫も会話に参加できない。ちょうど夫がきた頃は今年度の活動について議論されている真っ最中。私も新人ながら、時に意見を言ったり、時に夫に通訳したりしていたが、仲間に入りたくても入れないお喋りフランス人は、まるで借りてきた猫のようだった。
それでも、誰かとちょっと話をしようとしたのか、駐在員O氏と最初は英語で話し始め、その後彼が中国にいたことを知るや否や、さっそく彼と中国語で会話しはじめた。そうなると、今度は私が通訳を必要とする(笑)。
議論は続行中なので、駐在員O氏も、私も夫のことには構っていられないので、議論に復帰。わかるはずもない日本語の会話を、ボーっと“聞くふり”している夫。内心、この状況をとっても楽しんでしまった私。こんなにおとなしい夫を見るのは、もしかしたら初めてかもしれない。
その後、「ゼロは、日本語が達者だね」という、なんともいえない発言を残し、またメンバー全員に丁寧に挨拶をして、彼は一足早く帰っていった。
会の終わりには、私の仕事の説明もして、メンバーに取材&情報提供協力をしてもらいたい旨を伝えることもできて、満足の私だった。
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