ゼロの視点
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2003年01月11日(土) 登山

 仕事の息抜きのつもりで、数日更新してなかった自分のサイトを見てみた。すると、すでにカウントが5000を越えていたので、ビックリ。

 ただ書きたいことだけを書いて、写真もレイアウトもなにもない私のサイトを、どこかの誰かが読んでいてくれる、というのは、ありがたいものです。まあ、人によったら“バカなこと書きやがって”なんて場合もあるでしょうが(笑)。

 書かなければいけないことを細心の調査をもって書く、という仕事。ソレに対して、書きたいことを調査もなしに、テキトーに書き連ねることが可能な“ゼロの視点”。

 この同じ書くことに対しての、使い分けを実験的にしてみたかったのも、発作的サイト立ち上げの一因でもあったが、ここにきて、想像以上の“相違”を実感している最中。

 仕事はフランス語で、サイトは日本語という決定的な違いがまず原因だ。もともと、長い時間かけて調べるだけ調べて、あとは一気に書き上げるというのが私のスタイルだったが、フランス語だと、一気に・・・・・、なんてことは、決して出来ないことを激しく痛感している日々(涙)。

 “ゼロの視点”における文章は、書き終わったあと、実はわたしはあまりその内容を覚えていない(笑)。きっと、自動筆記に近い状態で書いているのだと思う。しかし、それが、フランス語になると、まったくできない。アタマには日本語で書く時と同じように、様々なアイデアが浮かぶのだが、それをまだ自由自在にに語彙、または表現を変えて、スラスラと書き連ねていくことが不可能に近い・・。

 覚えていた“はず”の動詞活用も、実際書いてみると、本当にあっているのか不安になることも多々あるし、単純過去をどの時点で使ったほうが効果的なのかというのも、実のところ曖昧であったりする。それプラス、現在作成中のものは、執筆しなければいけない本の3分の一を占める部分の、日本とフランスの歴史。そうなると、当たり前のように義務教育時代から覚えていた語彙をフランス人にわかりやすく、置き換えなければならない。

 この“当たり前のように”覚えていた語彙というのが、一番の曲者だったりするのだ。語彙だけを覚えていて、意味をあやふやにしか解釈してないこともあり、それを調べる・・・・。

 いずれにせよ、一行書くごとに、なにかしらの辞書や参考文献を見直すというのが現状だ。そして調べているうちに、書くこと自体のリズムが完全に停滞してしまうという、悪循環に陥る。

 こんなとき、ふと昔山登りを始めた時のことが思い出された。まるでやる気のない私を、登山の道へ踏み入れされた“いやな奴”がいるのだが、そいつに騙されるようにして、一歩踏み入れた登山道での記憶、だ。

 都会生活、つまり“水平”なところでは、私は歩くのが異常に速い。新宿の地下街でも、なんでも、だ。とにかく速い(笑)。しかし、登山道では、それがまったく活かされずに、登り始めて10分もしたところで、すでに泣きが入ってきた。20分もしたら、その辛さに完全に絶望して、ヒステリーを起こしたり、泣き叫んだこともあった(泣笑)。

 辛くなる度に、登山図と標高を確かめて、その頂点が遥かに遠いことを悟ると、絶望のどん底に陥っていったものだった。そんな時、天候が悪くなり、雲が自分の目の前に現れてきたりすると、もう完全にパニック。意味不明に「殺してくれーーーっ」と叫んでいた。

 とにかく、普段の自分とあまりにも違う・・・・、それもいい意味ではなくて、悪い意味で・・・、という状況自体が耐えられなかったのだと、現在、自己分析できる。

 そんな私だったが、“いやな奴”に強硬に数え切れないぐらい登山に連れ出され(ついて行くこと自体、潜在的に私自身にも征服欲があったと思えるが)、だんだんとコツを覚えてきて、最後のあたりは“縦走”なんてことも出来るようになっていた。これは、今思うと、初登山から1年後のことだと思う。

 その頃は、すでに登る山が3000メートル級で、一度入ったらなかなか出てこられない山と判っていても、パニくることがなくなっていた。“いやな奴”のほうにガタが来ても、それを励ますくらいにまでなっていた。

 現在、登山はやめてしまったが、これを通して学んだものは、文字通り“一歩一歩進む”こと、だった・・・・・・。

 しかし、人間、楽なほうに簡単に流れるのが常。ここまで学んでも、もう一度同じ苦しみはしたくないと考えてしまいがちな、私。今の自分の仕事の状況が、初登山にダブり、そこで一歩一歩進めば道が開けるとは判っていても、本能が、あらゆる苦難から逃走しようと試みる。

 フランス語で書いた原稿を、文法に恐ろしいほど異様にマニアックな夫に校正してもらう。すると、数え切れないくらいの赤がっ!!。

あんなに苦労して、書いたのにィ!!。

 きちんとイヤミな程、校正してくれる夫には悪いが、間違いを指摘される度に逆ギレしそうになる私。挙句の果てに、「私はフランス人じゃないもーーーんっ!!」と威張ってみたりする・・・。そんなこと言っている場合じゃないことは百も承知だが、言わないとヤッテラレナイ、というのが本音(汗)。

 今やるべきこと、そして越えなくてはならない難関、それらすべてをよーーーく把握はしている。でも、久しぶりに叫んでいいですか?。例のセリフ・・・・。

『殺してくれーーーーっ!!』

 殺してくれ、ということは、自分で死ぬ勇気もないこと。すべてが他力本願で、状況によれば、すべてが他人のせいという思考回路なんだな、と改めて実感・・・・。

 さて、仕事に復帰します。


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