ゼロの視点
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私の担当編集者の女性Sは、のんびりしている。それが本来の姿か否かは定かでないが、とにかく今のところ、こういった印象を私に与え続けているのは確かだ。
先週の木曜日に40ページ分の原稿をとうとう彼女に送りつけたのだが、その返事が月曜日に来るような編集者。ま、私としたら、時間やスケジュールに異常に正確で、重箱のすみを突いてくるような人じゃなくてラッキーなのだが。
昨年の初夏に、この仕事の面接があった。Sの家で行われたのだが、実際にそこを訪れてみると、なんとも可愛い女性がでてきた。それが私の未来の担当編集者Sだった。私といえば、面接で意外に緊張していて、前日から(とはいっても、直前の直前で、真夜中から始めただけだが・・・)、旦那相手に面接の予行練習をして、すべて可能なプロジェクトを口頭で言えるように訓練していったほど。あらゆるイジワルな質問をされても、ほぼ完璧に答えられるようにしていった。
友人らに、フランスの編集業界の面接は、興味がなかったら5分で打ち切られると脅されいた。で、いざ蓋を開けてみると、世間話のような仕事の話しのようなものが延々と続いて、1時間半も二人で喋っていた。で、最後にSのほうから、面白そうなので、とりあえず10ページほどの本の概要書を10日以内に書いて送ってください、ということになった。ま、これが今の仕事のはじまり。
妙に拍子抜けしたものの、ま、手ごたえはあったのかな、と思った。そして彼女との別れ際に、白髪の紳士が現れた。Sと親しそうに話している姿と話の内容から推察して、てっきり親子だと思っていた。
家に戻ってから、興味本位で、彼女の名前を検索にかけて調べてみると、運良くそれを発見。おまけに履歴書まで掲載されているっ!!。よーく考えてみれば、彼女の名前はフランス人のモノじゃない。ロシア人。10年前にフランスに来てから、かなりのキャリアを積んできているのがよくわかった。年齢も私より2つ上だけだったことも判明。
その後、またまた興味が湧いたので、今度は白髪の紳士のことを検索にかけてみたら、見事にヒット。彼が彫刻家だということだけはわかっていたが、よく彼の生い立ちなどを読んでいくと、彼とSが夫婦だということがわかった!!!。ざっと計算して、30歳の差だ。うーん、なかなかやるね、S!!。
両方の情報には顔写真があったので、それを夫に見せたら、妙に喜んで勝手に顔写真をコピペして、S夫婦の切り貼り画像を作っていた。こんなことはSは知らない。
さてSの履歴書から判断して、彼女はまだ新米の編集者なんだとふんだ私。その途端にちょっと余裕が(笑)。日本とフランスの仕組みは違うとしても、わたしも日本では編集者だったことがあるので。とはいえ、版元のほうの社長はかなりやり手なので、余裕はそんなにかまし続けられないのだが・・・。
今のところ、先週入稿した40ページ分(残り110ページ)の原稿は、すこぶる評判がよいとのこと。ああ、一安心。某仏雑誌に日本の代表のような顔して書いている、女性ジャーナリストがいるのだが、こいつだけにはスノッブに差をつけてやろう!!、と思っていたのだが、どうやら徐々に成功してるかな?!?!。でも、こんなことは書き手と編集者の間には手にとるようにわかっても、実際、読み手にはわからないものかもしれないが・・・。
でも、いいのだ、すべてが自分のエゴのためだ(笑)。
そんなわけで、必死こいて入稿しても、打ち合わせは来週まで延期というのんびり編集者S。この分だと、マジで平気で締め切りを延ばさせることが可能な気がしてきて、妙にウキウキしてきてしまう。
しかし、自分の性格を棚にあげて、我が夫が私にプレッシャーをかけてくるのが許せんっ!!。あいつの性格なら、締め切り前日から仕事を始めるのが常だろうが(わしも放っておけば同じ)、どうも自分と同じ性格のものを見ると、叱咤激励したくなるようだ・・・。でも実に、鬱陶しい。ゆえにまたバトルになる・・・・。
私「キサマは編集の仕事をしらないっ!!」 夫「世間を甘く見すぎているっ!!」 私「よくそんな言葉がキサマに言えたもんだ、だから最近、よく雪が降るんだよっ!!」 夫、逆ギレ・・・・・、ってな感じ。
異常に集中して仕事したあとに、編集者からOKが出て、のんびりと進行していくペースに気が完全に緩んだらしく、突然風邪がぶり返したゼロでした。
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