ゼロの視点
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夕方、行きつけの写真屋が閉まる直前に、現像に出すフィルムを見つけたので、急いで走っていく。もう完全に店員達に顔を覚えられているので、フィルムを渡すだけで、勝手に向こうが処理してくれる。
顔なじみの店員が 「さっき店の掃除をしていたら、ゼロさん家庭の写真がでてきたけれど、どうする?」と言って来た。ビックリしながらも、その写真を見てみると、なんと昨年の2月のモノだった・・・・・・・。一年前まで頻繁にあっていた友人で現在はあまりコンタクトがなくなってしまった友人らの姿もある。
急いで会計して、歩道のベンチにゆっくりと腰掛けて写真を見始める。なぜか、どうも店で写真を見ることがいたたまれない私。とはいえ家に戻る前に写真を全部チェックしたい。そんなわけで、店を出たところにあるベンチに腰掛けるのが習慣になっている。例え、そのベンチに浮浪者が座っていようと、“写真を見たい”という欲求にはかえられない。
写真は昨年の2月のとある一日の出来事だった。その日は朝から、パリ郊外であった友人の結婚式に出かけていった。友人カップルで、ものすごい若い頃にホメイニ革命の寸前にイランから亡命して、現在はフランス国籍のA♂と、南仏出身のC♀。Cのほうは今すぐにでもAと結婚したい・・・、が、Aのほうは全然したくない、という形態でずうっと同棲生活を過ごしてきた二人。
そこに、イランでの生活にウンザリしてパリにやってきたAの弟F。Aも相当自分の弟にパリでの生活はいいぞ、と言っていた模様。そんな兄の説得でFはフランスにやってきたのだが、さて次の難関はビザ。
なんとかAと繋がっていたいCは、Aの弟Fと偽造結婚して、フランスに合法的に滞在できるという案を提示した。Aは相当迷ったものの(なぜなら、それでCに借りを作ってしまうのが嫌だった)最終的に偽装結婚を承諾した。
写真は、その時の結婚式模様だった・・・・・。そして、一年後の本日は、AとCはとうとう同棲生活を解消した日でもあった。なんという奇遇なことか?!?!?!。
結婚式の後、郊外のアパルトマンで奇妙な3人での共同生活を始めた彼ら。フランス女性の悪い典型で異常に嫉妬深いCは、兄弟がペルシャ語で話すだけでも許せなかった。そして、小姑として、さんざんAの弟Fをいじめ、またそれを完全にストップ出来ないAがいた。想像以上に3人の関係はあっという間に悪化していった。
それと同時に、すべてのことにネガティブになってきたAが、私達の夫婦関係までに変な影響を及ばせてきた。私には夫の悪口を言い、夫には私の悪口を言うという感じ。自分達がうまくいかないこともあって、恐らく潜在的に他のカップルも仲たがいさせたくなってしまったのだと、私は確信している。
彼のせいで、意味もなく何度が夫婦喧嘩をしたすえ、ふとこの“妙なAのからくり”に気がついた私は、それらすべてを夫に語ってみた。すると、夫もすごく納得して、それ以後A&Cカップルとの関係を意図的に絶ってみた。するとどうだろう、何もわしらの間では問題がなくなってしまったのだ。
それとは逆に、A&Cの間ではどんどん問題が増えていった模様。年末ぐらいから、再び彼らとコンタクトを取り始めた頃には、完全に二人の間は冷え切っていた。そして、本日、完全に同棲を解消して、CがAの家を出て行ったところだった。
そんな日に、偶然みつけた写真。あまりにもタイミングが良すぎて、ちょっと鳥肌が立ったほどだ。その時の写真には、とある仏雑誌の結構名の知れたジャーナリストHの姿もあったが、彼とも、諸事情で現在わしら夫婦はかなり距離を取っている最中。あまりにもセコイ私生活を送っているHに嫌気がさした私が、勝手に距離を取り出して、現在に至っている。
たかが一年、されど一年、というものをつくづく感じた一日だった・・・。
ちなみに、CとAの弟Fとの偽装結婚も近々解消される模様。あわよくばフランス国籍取得と考えていたA兄弟だったが、その考えもすべて放棄した上での別離となった。
やはり、簡単に物事が思うようにいかないのが人生ということをAも悟るべき、いい機会だったのではないだろうか?。
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