ゼロの視点
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2003年03月20日(木) |
歌っているのはだれ? |
水曜日の晩、戦争が始まりそうな感じがして、ずうっとテレビを見ていた。ARTEでやっていた、アメリカの気狂いじみたエヴァンジェリストのドキュメンタリーを見ているうちに、ああ、あと数時間で本当に戦争はじまるな・・・・、なんてノンキに思いながら。開戦直前に、シニカルにこんな特集をやってくれるARTE。
その後、なにもやる気がしないので、まだダラダラとリモコン片手にテレビをザッピングしていると、全然有名じゃないスプラッターホラー映画が始まったところだったので、そのまま見つづける。
後頭部からザックリ刺された包丁が、口から飛び出したり、ショーウインドウのマネキンの首が突如吹っ飛んで、そこから血がドクドク流れ出したり、ポルターガイストが発生したり・・・、と、ついつい最後まで見てしまった。タイトルはハッキリ覚えてないが、確か「墓場近くの家」という感じのものだった。でも、墓場近くの薄気味悪い家なんか喜んで主人公買うから、こんな目にあうんだよなぁ・・・、と思いつつ、ここで主人公が“胡散臭い家なので購入取りやめます”って冒頭で言ってしまったら、映画にならんし・・・、とも思ったりする。
よく、中学・高校の頃、家族が寝静まった家で深夜にホラー映画を見てたことを思い出し、ついつい懐かしくなって日本の親友Mに電話する。現時点では戦争も始まってないし。パリ時間午前1時、日本時間朝9時。
「戦争始まりそうだよね」などという言葉で始まった電話だったが、散々喋っているうちに、戦争の、せの字すら忘れてしまっていた。結局、わしらはどのくらい話したのだろうか?。
開戦をダイレクトで見ようとして、テレビの前に陣取っていたのに、電話を切って、寝ようとした頃の午前4時には、テレビをもう一度つけてチェックすることすら忘れて、熟睡してしまっていた。そして、起床したら、やっぱり、始まっていた・・・。
そんな時、ふと、ある映画を思い出した。『歌っているのはだれ?』(1980年ユーゴスラビア)だ。1941年ドイツ軍のベオグラード侵攻前日の話。高校時代に岩波ホールで観た作品だ。今でも、この映画でジプシーが始終歌っていたをソラで歌えるほど、私にとって印象深い映画。
終始、ふざけた雰囲気で、すっとぼけていて、それでいて妙に覚めた視点も欠かさない、ロードムービー。結末は、ドイツ軍の侵攻により悲惨なカタチをとるが、このリズムが人間の定めをクローズアップする。お涙頂戴でもなく、教訓的なストーリーでもない。ちょっとブニュエル的な要素もあったりして・・・。
正義という言葉を振りかざし、調子よく、神と悪魔という言葉を利用し、のさばっているブッシュと、その取り巻き。星条旗を掲げ、単純だからこそ、妙に単純な国民を洗脳しやすい効果がある演説。旗のガラをハーケンクロイツにして、ブッシュにちょび髭つけたら、ヒトラー真っ青のファシスト政権だよな・・・、と。おまけに、迫害する相手はユダヤ人から、アラブ人に代わっただけ。石油がたくさんある土地にたまたま住んでしまっていた悲劇か?!?!?!。
爆撃してフセイン政権を倒す前に、戦争が泥沼になって、ブッシュが大統領の座から消える日を祈るばかりだ。
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