ゼロの視点
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2003年11月18日(火) わけあり結婚式

 それは突然のことだった。日曜日の晩遅く、家へ戻りいつものように留守電を聞くと、友人画家Cからのメッセージ。火曜日の10時半から某区役所で結婚式を挙げる、というのだ。

 "sauter au plafond"(驚いて飛び上がる状態をいい、直訳では天上まで飛ぶ、という意味)とは、まさしくこのこと。

 Cのお相手は、中国人L。ここでは語らないほうがいい出会い方をして、Lはそれまでにも色々と問題があった女性でもある。Lはほとんどフランス語が話せない。そしてCは、まったく中国語をはなせない。おまけに双方とも、二人で語り合える共通言語もない。

 Cに、気になる女性がいるのだがちょっと問題があるので彼女にあって欲しいとわしらに電話があったのが8月末のこと。中国語をある程度はなす夫が通訳としてCの代わりにLにインタビューしたりもした。

 その結果、私も夫も、そしてC本人も、やっぱりすぐに結婚する(彼女の望み)はしばらく置いておいて、お互いを知るためにも、とりあえず一緒に住んでみればいいんじゃないか?、という結論に達した。

 わしらもヤバそうな雰囲気は感じていたし、なによりもC自身があまりにも不安になったからこそ、私達に彼女を紹介したのだと思っている。

 そして、しばらくCから連絡がないまま時がすぎていたのだが、私達の想像を遥かに超越するほど、スピーディーに物事が展開していたので、本当にビックリ。


 さて、当日、式の5分前に私達は到着。しかしここはフランス。私達がCの挙式列席者の中で一番乗りだった(笑)。とはいえ、ゾクゾクとやってくる列席者の面々。しかし、当事者であるC&Lがいない・・・・・。

 さすがに11時をまわる頃、誰もがおかしいと言い出し、いちかばちかCの友人の一人がCの家に電話してみた・・・・・。すると、本人が電話にでるっ!!!!。一同唖然。でも、どうやらCはそれでも来る気でいるらしいことを確認したので、みんなでボーっと本日の主役を待つ。まるでサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』のようだ。

 ほとんどの人が諦めかけた頃(11時45分頃)、お姫様タイプのウエディングドレスに頭にはティアラをつけたLと、スーツにネクタイをビシっときめたCが区役所のエントランスに現れた。

 彼らの登場までに、すでに3組の夫婦の挙式が繰上げで行われていた(泣笑)。


 Cの両親はすでに亡くなっているので、式には彼の姉妹が参加していたのだが、ついつい好奇心にかられて、彼女らに“いつ彼の結婚のニュースを知りましたか?。”と尋ねると、彼女らは口を揃えて、先週の木曜日と答える。そして本日はじめて、Cの嫁になるLと対面するということも彼女らは付け加えた。

「これじゃ、反対するもなにもあったものじゃないわねぇ・・・。」となんとも言えない奇妙な笑顔で答えるCの姉妹たち。

 さすがに平日だけあって、区役所側にも挙式スケジュールに余裕があり、大幅に遅れながらも、無事CとLの結婚式がはじまった。あとでCが言っていたが、あまりに感動して、涙がこぼれてしまったそうだ。

 そこまで感動している人間に対して、“騙されてる”等のネガティブなことを言ってもしょうがない。ここまできたら、盛大に祝福するのみ。式のあと、Cの家へ列席者全員でお邪魔して、そこで真昼間からパーティーとなった。

 ちなみに、Lは招待客のことなどほったらかしにして(Cの姉妹などにもまったく挨拶しようともせず)、ただひたすら、様々なポーズをとって、Cの友人であるプロのカメラマンに写真を撮ってもらい続けていた。そして、それをやるだけやったら、Lは疲れたのか、ベッドで寝てしまった・・・・。



 でも、Lの友人という7人の中国人女性が作った蒸餃子と焼餃子は美味しかった。


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