ゼロの視点
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2009年02月27日(金) Gran Torino

 クリント・イーストウッドの最新作『Gran Torino』を観てきた。フランスで公開されてまもなくのウイークエンドに映画館へ足を運んだので、そりゃあすごい人だった。映画館前の長蛇の列をみて、《ほ〜らみたことか、だから来たくなかったんだよ!》と夫にぶーたれてみたが、彼はそんなのお構いなし。オッサン、意外にミーハーなのだ・・・・・・(汗)。

 ストーリーについては、あえて詳しく書かないが、冒頭から、やりとりや様々なシークエンスがとても面白く、まったく飽きない映画だった。イーストウッドが、毒舌頑固ジジイをコメディアンのように演じているのが妙に笑えた。

 が、どうみても、毎日ビールをたらふく飲む、ブルーカラーの退職者じいさんにしては、イーストウッドがいい男すぎるのが、説得力ねえなぁ・・、と思った。本来なら酒でむくんでくるだろう顔とか、たるんでくるだろう腹など、そんな兆候まったくなし。来年には80歳になるというイーストウッドが、すくっと立ち上がった姿は、いまだにいいオトコすぎて、見惚れてしまう(笑)。

 胸板もいいぐあいに厚いし、上腕部の筋肉も男らしい、そして、腰からしたはスラッとひたすらながく、映画途中、銃を手にしたイーストウッドが、またダーティーハリーになってしまうのか?、と冷や冷やしてしまったほど。こんな彼に、息子夫婦が老人ホーム入居をすすめるシーンがあるのだが、個人的にツボにはまって、大爆笑してしまった。

 ラストにむけての展開は、なんだかなぁ、という感じだった。イーストウッドの作品で『ミリオンダラー・ベイビー』という映画を見たときも、巷でいわれるような感動は得られなかった私。『Gran Torino』でも、やはり同じような感触を得たにすぎなかった。が、映画館内には、鼻をすする音などが響き渡っていたので、結構な人が感動して泣いていたものと推測される。

 『ミリオンダラー・ベイビー』は、以前、日本からフランスへ戻る飛行機内で鑑賞したのだが、なんだかピンとこず。その直後に、まだ機内でまったく眠くなかった私は、『海を飛ぶ夢 (原題Mar adentro/スペイン2004)』という映画を見始めた。

 すると、だ・・・、奇遇なことにこれも尊厳死を扱った映画だったのだが、何の期待もせずに鑑賞しはじめた私は、もう最後には感動しまくって機内でウルウル、鼻水ジュルジュ状態。『ミリオンダラー・ベイビー』なんて陳腐だなぁ、なんて思ってしまうほど、個人的にはヒットした作品に出会ってしまった。

 イーストウッド独特の説教臭さとは裏腹に、妙に単純というか、浅いような気がしてならないのは、なぜなんだろう?!?!?!。ううーん、なんだかなぁ。

 これだったら、イーストウッドが同じく監督した作品『ガントレット(原題The Gauntlet/アメリカ1977)』のほうが、説教臭くなくて面白かったような気がする。たいしてストーリーもないものの、イーストウッドと私生活でも愛人だったという女優ソンドラ・ロックが乗ったバスが一斉銃撃されるシーンをやりたいがためだけに作った?、という作品。

 ちなみに、死んだと思われたイーストウッドが目を開けて、ソンドラ・ロックに向かって、《Nag,, nag, nag 》と言いながら、起き上がってくるシーンは、私のお気に入り。なんだか、またこのシーンだけでもいいから見たくなってきた♪。




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